卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される～再会は深愛の始まり

【誤解を招いた相手～耀】

「北見くん？ごめんね、こんな夜遅くになって」
「いえ、奈菜、どうですか？」
俺は、奈菜が出て行ったあと、奈菜が連絡するなら、山坂さんだろう電話した。
すると、奈菜から電話があって、家に来ることになったから、話を聞いたら電話をくれることになった。
「泣きつかれて寝てるよ」
「そうですか。でも、山坂さんのところにいるなら安心です」
「ごめんね。北見くんと付き合って、男性不信は治ったけど、やっぱり失うことの怖さを知ってるから、少しのことでも不安なんだよ」
「俺、そんな事、全く身に覚えがないんですけど」
「あのさ、ほんとに奈菜以外の女性と、その･･･関係は無いの？」
「無いですよ！どうしてそんなことに？」
「たまに、帰って来た時、服に女性の香水の香りがするって。それで、この間、同じ香りがする女性が、北見くんのマンションを訪ねて来たらしいよ。耀って名前呼んでたって」
「･･･会ったんですか？奈菜」
「直接話はしてないけど、顔は見たって」
「そうですか･･･原因は分かりました。明日説明します。朝10時に迎えに行きますので、今日は奈菜を、宜しくお願いします」
「北見くん」
「はい」
「北見くんと再会して、昔の明るい奈菜に戻った。私は今の奈菜を見てると、凄く嬉しいの。あんな笑顔の奈菜を見るのは、久しぶりだから。大切にしてね」
「約束します。必ずその笑顔は守りますから」
俺は、山坂さんとの電話を切って、直ぐに電話をかけた。
「もしもし。俺。何だよ、マンションまで来て。一緒に住んでること知ってるろ？･･････誰が家に来いって言ったんだよ。･･････はぁっ？会社に来いってことだよ。ったく、とにかくだ。明日そっちに行くから。あっ、それと2度と俺に抱きつくなよ」
俺は電話を切って、ため息をついた。
奈菜の居なくなった部屋を見渡す。
この部屋、こんなに静かで、殺風景だったっけ･･･
キッチンで鼻歌を口ずさんで料理をする奈菜。
ソファで2人で話をして、俺の話に耳を傾けて微笑む奈菜。
普段では見せない、ベッドの上での妖艶な奈菜。
もう、この部屋は、奈菜との生活が染みついている。
奈菜･･･
俺、奈菜無しでは、もういられないよ。
奈菜が居ない部屋を見ると、心に穴が空いたようだった。