卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
【謎の女性の正体は】
「さぁ、私の服、貸してあげるから、行っておいで」
「やだよ。あんな言い方したのに」
「じゃあ、別の女性のところに、北見くんがこのまま行ってもいいの?」
「そ、それは・・・」
嫌だ。考えただけで涙が出てくる。
「きちんと自分の気持ちを言いなよ。北見くんなら大丈夫でしょ?」
「・・・分かった。行ってくる」
玄関を出ると、もう車の中で、耀が待っていた。
無言で助手席に座ると、車は動き出した。
「耀、あの・・・」
「話はあとだ」
耀は、真顔で前を見たまま、車を運転し始めた。
会話が無い時間。車内に、音楽だけが流れる。
この曲・・・
耀達とバスケ部の合宿で、皆で聞いてた曲だ。
懐かしい・・・楽しかったなぁ。
「着いたよ」
着いたのは、都心のビル街。
耀に連れられて、エレベータに乗って着いた所には、「西沢法律事務所」とプレートが掲げられている。
耀は、入り口のインターホンを鳴らした。
「北見です。西沢京子さんと約束しています」
「はい、しばらくお待ち下さい」
凄い・・・こんな人達と仕事してるんだ。
でも、こんな時に、何で私を連れて来たんだろう。
入り口のドアが開き、
「お待たせ、耀」
目の前に現れたのは、この間、耀を訪ねて来た人だ。
その女性は、耀を見つけると、抱きつこうと腕を伸ばした。
ま、まさか。
これを私に見せつけようとして、連れて来たの…
「だから、2度と抱きつくなって言っただろ」
「何よ、冷たいわね。あら?あなたが・・・初めまして、西沢京子です」
「は、初めまして」
浮気相手かもしれない人から挨拶されるとは、思ってなかった。
「奈菜、この人、俺の姉貴だよ。結婚して西沢なんだ」
・・・えっ?姉貴って。
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