卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
【クリスマスは、愛の再確認】
やっぱり、12月になると寒いなぁ。
「おはよう、美和」
「おはよう。奈菜、北見くん来てるよ」
私は、耀に手を振って、店に出る準備をした。
「山坂さん、新しい店舗の事なんですけど、話し合った内容を纏めてきました。これが資料です」
美和が、ずっとやりたいと言っていたお店の計画書を、耀が美和に説明していた。
本当は、若い人向けに、可愛らしいイメージのお店を考えていたらしい。
でも、旦那さんと相談して、グレーとネイビーをメインとしたインテリアで、優雅で落ち着いた空間を味わえるように仕上げたらしい。
料理は、有機野菜にこだわらず、価格変動が少ない食材の定番メニュー何品かと、その時期に合わせたメニューを考え、有機豆を使ったコーヒーは、そのまま提供することになった。
周りはチェーン店ばかりのお店に、落ち着いた雰囲気のお店を構えることで、会社員やお洒落に着飾ったご婦人達、カップルの人達まで様々な客層を想定してる。
近くに旦那さんのお店があるから、そのお店は、旦那さんに顔を出してもらう事になった。
ゆくゆくは、旦那さんのお店とコラボしたいと、夢を語っている。
「ありがとう。色々北見くんが立地とか客層の年齢や、売上が伸びる時間帯とか情報くれたから、良い場所で、自分達の理想のお店が持てるよ」
「いえ、条件が良くても、出すお料理やサービスなどによって違いますから。大変なのは始まってからですよ。また様子見て、考えていきましょう」
「そうね、ありがとう。まぁ、夢は叶ったから。あとは、ここのことなんだけど」
「何か考えてますか?」
今日は、置き去りになっていた、お店の事を美和と耀で話をしていた。
「ここは、今のままでもいいかなぁって思ってて。落ち着いて、美味しいものを食べる」
「そうですねぇ。ここの良さはこのままにしててもいいように思います。収益も十分に出てますし」
「あとはね、ここの教室だけど」
徐々に減らした家庭教師は、ようやく全て終了した。
ここの教室は、近くに図書館はあるものの、分からない所を教えてくれる、プチ塾みたいなことが評判となって、今は全部の曜日が埋まっている。
「もっとお金を出していいから、勉強させて欲しいって親御さんもいたりしてね」
「へぇ、そんなに需要があるんですね」
「自分の家でしないけど、ここでなら勉強がはかどる子達もいるみたいで。親御さんもたまに様子見に来れるしね。それにね、」
美和がチラッと私を見た。
「奈菜の憎めないキャラが、子供達に人気で」
「まぁ、それは俺が1番分かりますけど」
「もう、恥ずかしいよ」
「だから、奈菜が続ける間は、このままでいこうと思うの。北見くん、いいかなぁ?」
「えぇ、もちろんです。俺も、奈菜が楽しそうにしてるの、嬉しいですし。家庭教師は遅くなるから心配してましたけど、ここなら安心ですから」
「そう。ありがとう」
美和は、ほっとした様子で、私に微笑んでいた。
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