卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「奈菜が今日のこと、色々考えてるのは分かるよ」
「ごめんね。自分の事、棚に上げて、耀のこと・・・」
「ううん。お互い会えない時間を過ごした。仕方ないことだよ。でも、目の前に見ているこの光景は、奈菜しか見たことがないから。俺の大切な場所に入れるのは、奈菜しかいない」
私は、その言葉に振り向いて耀を抱きしめた。
「耀・・・」
胸がいっぱいになって、名前を呼ぶのが精一杯で、耀の胸に顔を埋めた。
「奈菜、こっち向いて。顔、見せて」
私は、顔を上げ、耀を見つめた。
「愛してるよ。奈菜」
耀の顔が近づき、愛を確かめるように口づけを交わした。
「私も」
もう1度、耀の顔が近づいて来た時、インターホンが鳴った。
「誰だろう。ここに人が来ることなんてないのに」
カメラを見ると、足元がふらついているお姉さんが立っていた。
「姉貴・・・どんなタイミングで来るんだよ・・・はい、何だよ。こんな時間に?」
耀がインターホンに出た。
「耀ー。家に入れてよぉー。もーやだよぉー」
急にお姉さんが大きな声で泣き出した。
「わ、分かったから、中に入れ」
玄関を開けて待っていると、お姉さんはふらふらで泣きながら家に入ってきた。
「奈菜ちゃぁーん」
「だ、大丈夫ですか」
「姉貴、奈菜に抱きつくなって。もーなんだよ、酒臭い」
お姉さんをソファに座らせ、私はお水をテーブルに置いた。
「絶対、あの人浮気してるよ」
「浮気?あの真面目な兄さんが?どういうことだよ」
「離婚訴訟で依頼に来たのが、元カノだったの。この間は2人で話してたら、元カノ、彼の前で泣き出して、それを慰めてた。今日は、話が終わったあと、彼女から一緒にご飯食べに行こうって誘われてたの。お誘いありがとうだって。今日、クリスマスだよ!私、頭に来て、帰っちゃった。絶対その後2人で・・・グスン・・・」
「大丈夫だって。連絡、来てないの?」
< 47 / 78 >

この作品をシェア

pagetop