卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「耀くん、遅くに悪いね。うちの京子、来てる?」
「来てますよ。酔い潰れて寝てますから、中にどうぞ」
西沢さんが中に入って私を見た。
「初めまして。新庄奈菜です」
「初めまして。あなたが耀くんの彼女さんだね。京子から聞いてるよ。とても可愛い人だって」
「いえ、そんな・・・」
「クリスマスの日に、2人でゆっくりしているところ、悪かったね」
2人に頭を下げて、ため息をついていた。
「私、コーヒー淹れますね」
私は席を外し、西沢さんと耀が話をし始めた。
「きっと、私の案件で、昔、付き合っていた人のことだよね」
「はい。兄さんが、その人と食事に行って、そのまま一緒にいるんじゃないかって、勝手に想像してあの様です」
「食事?食事なんて行ってないよ」
「でも、女性が食事に誘ったら、お誘いありがとうって言ってたって」
「そういうことか・・・お誘いありがとうの続きがあるんだよ。でも、僕には最愛の妻がいて、今日は食事に誘う予定なんだと断って、話は終わったんだ。だから、電話したのに、急に耀くんのところに泊まるっていうから。まぁ、僕も耀くんには話したいことがあって、来てみたんだよ」
「そうだったんですね。姉貴は、仕事は冷静で完璧にこなすのに、昔から兄さんのことになると、からっきしダメで」
私はコーヒーをテーブルに置き、耀の横に座った。
「奈菜さん、ありがとう」
微笑む西沢さんは、品があり、大人の男性として魅力たっぷりだ。
あのお姉さんが心配するのも分かる。
「京子には謝るよ。案件が来た時に、他の弁護士を担当に付けるべきだったってね」
「でも、良かったです。姉貴が兄さんに呆れられたんじゃないかと頭によぎったんで」
「それは無いよ。僕はずっと京子を見て来たからね」
西沢さんは、微笑んでベッドの方へ目を向けた。
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