卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「先生、うちの子が、『奈菜先生が可愛い』って、帰ってからずっと言ってるんですけど、先生として接してくれてますか?先生を疑うわけじゃないですけど、先生に恋心を持って、勉強に集中できないのは困ります」
「奈菜先生、うちの子の成績が上がらないんです。どうにか出来ないですか?」
「もう少し、塾のように、先生主導で、教えてくれませんか」
中には、
「学校の先生にここに来てもらうようにするので、1度会って貰えませんか」
そんな事を言われたこともあった。
あくまでも、積極的に自習勉強する場所を提供して、分からないところがあれば私が教えるというスタンスから始めた教室。
それが、いつの間にか皆の勉強意欲が、塾のような期待度が出てきて、学校のような規律みたいなものが生まれてきた。

会員制にしたのは、美和のお店の一角を提供するから、経費をまかなうため会費をもらい、早く来れる子達が優先にならないように予約制に決めた。
学校でも本格的な塾でもない。
そして、私は、先生と呼ばれているけど、それは通称みたいなもので、分からないところを教えてあげるだけの喫茶店の店員にしか過ぎない。
何気なく、家に帰って話すことで、親御さんも心配になってきたんだと思う。
最近、教室の時間になると気が重くなってきた。
それでなくても、子供達に教える私の知識を保つのも、最近必死なのに・・・
今度は何を言われるんだろう。
どう、子供達に接したらいいのかな。

私はそんな事ばかり考えて、カウンターを片付けていた時、
「奈菜。今日、お店閉めるまで待てる?話があるんだ」
そう美和から声を掛けられた。
「うん、大丈夫。それまで、お店手伝うよ」
夜はアルバイトの子が来てくれるから、最近は家に帰って、ご飯を作っていた。
耀には、今日遅くなることを連絡した。

「最近、元気ないけど、子供達の親御さんに色々言われてるのが原因でしょ?」
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