卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「あの時は、他の先生がアドバイスしてくれたり、解決してくれた。私って、やっぱり教師には向いてないんだよね」
「でもさ、初めから完璧に仕事こなせる人って、いないんじゃない?俺は、散々失敗したし、兄さんだって、姉貴だって、今でも大切な決断は怖いって言ってたぞ」
「そうだけど・・・塾でも学校でもない、その場所でただ教えてるだけなのに、教師を求められたら、どうしていいのか・・・」
「それで、奈菜はどうしたいの?」
「実はね、最近、受験生に教えるのが、しんどくなってきてたの」
「俺と一緒にいるせいなのかな・・・」
「ううん、違うの。私自身の問題。楽しいんだけど、現役で毎日教えてる訳でもないし、教科書通りに教える訳でもない。聞かれた事に応えないといけないから、広範囲の知識を定着させることが、段々辛くなってる。それでも教えてあげたいと必死だったのに、今回の事が重なったから」
「奈菜が決めたらいいよ。続けるなら、俺は出来る事を応援するから」
「ありがとう。止めたい、本心はそっちに傾いてるんだけど、4月からあの子達、どうなるんだろうって。美和が言うように、図書館も塾の選択肢もあるんだけど」
「もう少し、時間があるから一緒に考えよう」
「うん」
耀は私の肩を抱き寄せ、頭を撫でてくれた。
< 55 / 78 >

この作品をシェア

pagetop