卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
「はい、実は、こちらの自習室を止める話を進めているのですが、残されたお子さん達の事が気がかりで、なかなか進められないんです。高山さんが今も教えていらっしゃるなら、子供達を引き継いでいただけたらと思いまして」
「そうですか。教えることは好きなのですが・・・ただ突然のお話ですので、息子とも相談しませんと」
「勿論です。もし、宜しければ今度、息子さんにもお時間いただけたら、私から説明させていただきます」
「分かりました。では、今度連れてきますね」
そう言って、日時を決めた。

それから約束の日時に、高山さん親子が訪れた。
その日は、午前中だけ、店を閉めることになった。
「高山さん、今日はありがとうございます」
耀が高山さん達を出迎えた。
「こちらこそ。あっ、私の息子です」
「初めまして。北見です」
「初めまして。息子の高山です」
「こちらが、このお店のオーナーの山坂さんで、自習室の先生もしている新庄さんだよ」
高山さんが私達を紹介してくれた。
「初めまして。・・・あれっ?もしかして、新庄先生?」
高山さんの息子さんの顔を見ると、どこかで見覚えがあるような・・・
「えっ!高山先生?」
高山さんが紹介したのは、私が先生になってから、1年後に同じ学校に来た新米先生だった。
「懐かしい。新庄先生どうしてるかなって、時々思いだすんですよ」
高山先生が私に寄って来た。
「高山さんって、奈菜のお知り合いだったんですね」
笑顔でそう言った耀は、目の奥が笑ってない。
「この方がご主人?」
「ううん。今お付き合いしてるの」
「じゃあ、先生、独身なんですね」
「まぁ、そういうことだね」
確かに耀はまだ彼氏だし、独身だよね。
「そっかぁ、良かった」
その言葉の意味を深く考えず、コーヒーの準備をした。
ただ、耀の顔は強ばっていた。
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