卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
在宅スタッフとして、耀が色々と教えてくれることになってたけど、それなら事務所に来て、皆の話す言葉や、雰囲気、書類とかに触れた方がいいんじゃないかと、小田さんが提案してくれた。
週2回ほど顔を出して、美和のお店と掛け持ちしてたけど、様々な業種の経営指標とかの資料を作るお手伝いをしていくうちに、数字の世界に魅了されて、仕事が楽しくなった。
その事を美和に相談すると、それなら掛け持ちじゃなく、耀の事務所で働いてみたらと、補助をさせてもらうことになった。

いつもなら、事務所に入って行くと、真っ先に声を掛けてくれる大河さんと小田さんが見当たらない。
「2人とも今日は居ないの?」
「いや、居るよ。今は面接中なんだ」
「面接?」
「そう。こっちの事務所になってから、忙しくなってさ。俺の仕事を小田さんに手伝ってもらってるから、従業員を増やすんだよ。まだ忙しくなりそうだし、他の専門分野に特化した人財も増やしたいしね」
活き活きとした耀を見ていると、私まで嬉しくなる。
「あっ、終わったみたい」
部屋から出て来た面接者は、顔色が白くなっていた。
「し、失礼しました」
後ろ姿は、魂が抜けたような、酷く落ち込んでるのが分かる。
「ダメそうなの?」
「そうみたいだね。あの2人がダメだったら、俺との面接は無いからね」
すると2人が部屋から出て来た。
「小田さん、大河さん、どうですか?」
「あぁ、ダメっていうより、この人!っていう、心打たれるのが無くてさ。情熱ってやつ?」
小田さんが心打たれる人って、どれだけのパワーがいるんだろうと密かに思う。
「普通の方では、辞めてしまわれるから、入ってから可愛そうですし。ここに来なくて良かったと思うくらい質問攻めにした方が、悔いが残らないと思ったのですが、途中から黙ってしまって・・・あれでは、付いていけなくて、すぐに辞めてしまうかと・・・」
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