過去の名君は仮初の王に暴かれる
告白
「最後の灯……」
エルゼは胸に温かいものがこみ上げる。鼻の奥がツンとして、目から温かい涙がこぼれ落ちた。涙を拭おうにも、あいにく手にはロレシオの書類と本を抱えている。
頬をつたう涙を拭ったのは、武骨な指だった。
「すまない。エルゼにこういう話をするべきでないのは分かっている。しかし、どうしても君に伝えておきたかったのだ。それほどにイヴァンカ様は、……私の大事なお方だった」
「……っ!」
「君が泣くのも当然だ。年の離れた夫が、今は亡き人に恋焦がれていたことを知ったのだ。しかも、未練たらしくその人の部屋まで遺して……。我ながら情けない。君はさぞ失望したことだろう」
「し、失望だなんて、そんな……!」
エルゼは激しく首を振った。しかし、ロレシオは自嘲気味に微笑む。
「エルゼ。君は優しくて寛容だ。しかし、この国の貴い身分であらせられたイヴァンカ様を愛してしまった汚らわしい騎士の私が、君のような清らかな人の夫になる資格はないのだ」
エルゼは胸に温かいものがこみ上げる。鼻の奥がツンとして、目から温かい涙がこぼれ落ちた。涙を拭おうにも、あいにく手にはロレシオの書類と本を抱えている。
頬をつたう涙を拭ったのは、武骨な指だった。
「すまない。エルゼにこういう話をするべきでないのは分かっている。しかし、どうしても君に伝えておきたかったのだ。それほどにイヴァンカ様は、……私の大事なお方だった」
「……っ!」
「君が泣くのも当然だ。年の離れた夫が、今は亡き人に恋焦がれていたことを知ったのだ。しかも、未練たらしくその人の部屋まで遺して……。我ながら情けない。君はさぞ失望したことだろう」
「し、失望だなんて、そんな……!」
エルゼは激しく首を振った。しかし、ロレシオは自嘲気味に微笑む。
「エルゼ。君は優しくて寛容だ。しかし、この国の貴い身分であらせられたイヴァンカ様を愛してしまった汚らわしい騎士の私が、君のような清らかな人の夫になる資格はないのだ」