過去の名君は仮初の王に暴かれる
「……本来は私のような大罪人がこの玉座に座す資格はない。しかし、貴女の愛したこの国を貴女が望むような国にすることこそが、私の償いとなるのだと信じて、……こうして恥ずかしながら国王となった次第です」
「なにをおっしゃっているのです! 陛下はいつもご謙遜なさいますが、この国の発展に寄与したのは間違いなく貴方です。だからこそ、貴方は名君と呼ばれて……」
「貴女は気づいていないのですか?」
ふいに、ロレシオは眩しいものを見るような目でエルゼを見つめる。
「私が国王としてやったことは、全てイヴァンカ様がやり遂げようとなさっていたことですよ。貴女は図書館で、幼い私に夢を語ってくれた。私は、それを実行しただけだ。だから、私が成し遂げたことはすべて、貴女の功績にすぎない。私が名君と呼ばれるなら、それは全てイヴァンカ様への称賛なのです」
「あっ……」
エルゼはハッとする。
(そう言えば、そうだわ……)
思い返せば、ロレシオの試行した法律や制度は全て、イヴァンカが思い描いていたことだった。しかし、マンフレートや宰相たちからしょせん絵空事と鼻で笑われ、綺麗事だと馬鹿にされ、実現することはなかった。
ロレシオはしかし、イヴァンカの意志を継いで、一つ一つ現実にしていったのだ。
「なにをおっしゃっているのです! 陛下はいつもご謙遜なさいますが、この国の発展に寄与したのは間違いなく貴方です。だからこそ、貴方は名君と呼ばれて……」
「貴女は気づいていないのですか?」
ふいに、ロレシオは眩しいものを見るような目でエルゼを見つめる。
「私が国王としてやったことは、全てイヴァンカ様がやり遂げようとなさっていたことですよ。貴女は図書館で、幼い私に夢を語ってくれた。私は、それを実行しただけだ。だから、私が成し遂げたことはすべて、貴女の功績にすぎない。私が名君と呼ばれるなら、それは全てイヴァンカ様への称賛なのです」
「あっ……」
エルゼはハッとする。
(そう言えば、そうだわ……)
思い返せば、ロレシオの試行した法律や制度は全て、イヴァンカが思い描いていたことだった。しかし、マンフレートや宰相たちからしょせん絵空事と鼻で笑われ、綺麗事だと馬鹿にされ、実現することはなかった。
ロレシオはしかし、イヴァンカの意志を継いで、一つ一つ現実にしていったのだ。