過去の名君は仮初の王に暴かれる
エルゼの前世が敬愛するイヴァンカだと知ったロレシオは、箍が外れたようにエルゼを溺愛するようになった。
彼の忠誠を誓った女王のように扱い、あろうことか国王のロレシオが王妃であるエルゼに跪いてきたこともある。しかし、「貴方は国王様なのですよ!」と散々エルゼは注意し、なんとか止めさせた。
しかし、ことあるごとに囁かれる愛の言葉だけはどうしようもできなかった。前世を含めて色恋の類に縁遠かったエルゼは困惑しきりだ。「顔が赤くなってしまうのでお止めください!」と、必死で抗議しているのだが、ロレシオはそれすらも嬉しそうな様子だった。
(わたくしの前世のことを知ってから、陛下はとても嬉しそうだわ。それもそうよね……。だって、陛下はずっとイヴァンカのことを一途に愛していたのだから……)
長い間、ロレシオは一人で色々なことを背負っていたのだ。すべては、彼が愛した亡き王妃のために。
そのことを思うと、エルゼの心はきゅっと苦しくなる。どれほどまでに、孤独な人生だっただろう。せめて、これ先の人生は幸せになってほしい。
彼の忠誠を誓った女王のように扱い、あろうことか国王のロレシオが王妃であるエルゼに跪いてきたこともある。しかし、「貴方は国王様なのですよ!」と散々エルゼは注意し、なんとか止めさせた。
しかし、ことあるごとに囁かれる愛の言葉だけはどうしようもできなかった。前世を含めて色恋の類に縁遠かったエルゼは困惑しきりだ。「顔が赤くなってしまうのでお止めください!」と、必死で抗議しているのだが、ロレシオはそれすらも嬉しそうな様子だった。
(わたくしの前世のことを知ってから、陛下はとても嬉しそうだわ。それもそうよね……。だって、陛下はずっとイヴァンカのことを一途に愛していたのだから……)
長い間、ロレシオは一人で色々なことを背負っていたのだ。すべては、彼が愛した亡き王妃のために。
そのことを思うと、エルゼの心はきゅっと苦しくなる。どれほどまでに、孤独な人生だっただろう。せめて、これ先の人生は幸せになってほしい。