過去の名君は仮初の王に暴かれる
 そんな健気なことをぼんやりと考えていたエルゼの耳朶に、ふいにロレシオの唇が触れた。

「……きゃっ!」

 華奢な肩が小さく震えた。ロレシオが、エルゼの顔を覗き込む。

「……エルゼは、耳が弱いのか」
「ええっと、そうなのでしょうか? こんなところに口づけをするなんて、わたくしは知らなくて……」

 あまりに純真な答えに、ロレシオはふっと目を細めた。

「これから知ればいい」

 耳のそばで甘やかに囁かれ、エルゼはふるりと身を震わす。ロレシオはエルゼを優しく膝の上に置くと、後ろから抱きしめながら耳の縁に添って舌を這わせた。

「そ、それ、……や、やめて、くださ………っ。なんだか、変な、か、感じで……」
「うん? それにしては、君は抵抗しない」
「……ちからが、抜けちゃって……ひゃんっ……!」

 舌と唇をつかって耳朶を吸い上げられ、エルゼはたまらず嬌声をあげる。その瞬間、ロレシオは長い指をエルゼの咥内に滑り込ませた。

「ぁん、……むぐっ」
「乱暴なことをしてすまない。君のそういう声は、他人に聞かせたくない……」

 そう言いながら、ロレシオは2本の指でエルゼの咥内を弄びながら、唾液を絡めて耳の柔らかな部分を舐める。
 あまりの快感にエルゼはたまらず身体をひねったが、過去に救国の騎士として活躍したロレシオのたくましい腕が、彼女を逃がすわけがない。

「……ふぁっ……、ん……っ」

 耳を舐める音に混じって、咥内をまさぐるはしたない水音が部屋に響く。耳から犯されているようで、エルゼの腹の奥がたまらずずくずくとうずいた。
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