過去の名君は仮初の王に暴かれる

「はっ、……ああっ、あぁああ――っ……!」

 一気に絶頂に達し、エルゼの腰が無秩序にガクガクと上下した。限界まで潤んだ肉孔が、はち切れんばかりの肉胴を絞り上げる。ロレシオも堪えるような呻きを漏らし、エルゼをかき抱いた。
 エルゼは幾度となく絶頂した。ロレシオは情け容赦なく己の欲望を打ちつけ、快感の極みまで上り詰めたエルゼが降りることを決して許さない。身体の隅々まで感じるところを暴かれ、愉悦を教えこまされたエルゼは、とめどない快感の波にさらわれて、そのたくましい腕にしがみつき、何度も愛する人の名前を呼んだ。そのたび、ロレシオの動きはますます激しくなった。

「エルゼ……、ああ、愛しいエルゼ……」

 いまやロレシオの動きすべてが、エルゼの身体に強烈な快感を灼きつけた。どちらのものか分からない唾液が、エルゼの口の端から流れる。お互いの輪郭さえ、定かではない。

「ああっ……。ふぁぁああん……ッ!」

 エルゼの男の形を知った隘路が無秩序にうねり、ねっとりとしゃぶりあげる。ロレシオの艶っぽいため息から、それが壮絶な快楽を彼に与えていることは明白だった。
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