過去の名君は仮初の王に暴かれる
「……あああっ!」
「ふっ……」
ロレシオはついに熱い吐息を漏らし、根元まで引き抜き一気に突き上げる。脊髄を突き抜けるような痺れに、エルゼは腰に響くような甘い嬌声をあげた。うねったぬかるみが小刻みに震え、男を吐精へと誘う。
「ああっ、ロレシオ……!」
「ぐっ……っ、エルゼ……!」
ふたりは同時に達し、エルゼの胎内で白濁が弾けた。
「……エルゼ……、愛おしい、私の妻……」
ロレシオの大きな手が、ぐったりとシーツに横たわるエルゼの頬を撫でた。まるで、世界で唯一の宝玉を触るような手つきで。
「愛おしい人。……私の、人生のすべてを捧げたってかまわない……」
「……もう、十分に捧げてもらいました。貴方の人生は、イヴァンカのためにあったようなものだから……。だからもう、これ以上捧げるのはやめて……」
「まだ、足りないんだ。次はエルゼのために生きる。前世の分まで君を甘やかして幸せになってもらわないと……」
ロレシオはエルゼの唇を奪う。エルゼの頬に涙がつたった。
一人の孤独な騎士の愛がようやく結実し、一人の愛されることを諦めていた孤独な女の魂が、満たされ、癒えていく――……。
「もう十分すぎるほど幸せです」
溢れる涙をそのままに、エルゼは愛しい人の胸板に頬を寄せ、そのまま目を閉じた。