好きになってよ、俺のこと。
「いや、クラスメイトの3分の1は、すでに誰かと契約を結んでるじゃない? 僕、まだだからさ。同じ人がいて良かったなと思って」
なるほど。
「ていうか僕、入学するまで専属契約のこと知らなかったんだよね」
「うそ、一緒だ。実は、私もなの。誰かと専属契約しないと退学になるなんて、びっくり」
「ほんと。できることなら、普通に卒業したかったよね」
なんか自分と同じような人と、この学園で初めて出会ったかもしれない。
「亜実ちゃん!」
名前を呼ばれてそちらに目をやると、教室の扉のところに都輝くんが立っていた。
東くんと話しているうちに、いつの間にかホームルームが終わっていたらしい。
私に向かって手を振る都輝くんに、私も振り返す。
「中城さん、改めてこれからよろしく。同じ“ 人間同士 ” 仲良くしよう」
「うん」
「それじゃあ」
席を立つ東くんと入れ替わるようにして、私の元へ都輝くんがやって来る。
「亜実ちゃん、誰? アイツ」
「東くん。今日の席替えで、隣の席になったんだ」
「ふーん。隣の席ね」
都輝くんが、東くんの背中を軽く睨む。