好きになってよ、俺のこと。
「それで、都輝くんはどうしたの? 私に何か用?」
「ああ、はい。これ」
都輝くんが、私に紙袋を渡してくる。
「いつもありがとう、亜実ちゃん」
紙袋の中には、お弁当箱が入っている。
都輝くんは私が作ったお弁当を食べ終えると、空になったお弁当箱を家に持ち帰り、それを必ず洗って返してくれる。
「あっ。今日はクッキーだ」
そしてお弁当箱とともに、紙袋の中にはキャンディだったりクッキーだったりと、毎回何かしら甘いお菓子が入っている。
「ありがとう、都輝くん。嬉しい」
いつしか私は、『今日は何がもらえるのかな』と、都輝くんからもらうお菓子も日々の楽しみのひとつとなっていた。
「ねぇ、亜実ちゃん。今日一緒に帰らない?」
「あ、せっかくだけどごめん。私今日は日直で、放課後は担任の先生にプリントのホチキス留めを頼まれてて」
私は、胸の前で両手を合わせる。
「それじゃあ待ってるよ。亜実ちゃんと一緒に帰りたいから」