好きになってよ、俺のこと。


「亜実ちゃん、ちょっとだけごめんね?」


そう言うと、都輝くんの口が私の手へと近づき……。


私の怪我した指先を、都輝くんがペロリと舐めた。


「……っ!」

「亜実ちゃんの血、砂糖よりも甘いね」


都輝くんの甘い声と妖艶な顔に、心臓が跳ね上がる。


それから何度か指を都輝くんに舐められ、ジュッと吸われ、くすぐったさに身体が震えてしまう。


「つ、都輝くん。血は吸わないって言ってたのに」

「うん。これは、怪我の治療だよ」

「治療って……あっ」


ようやく都輝くんから解放された指を見てみると、傷は跡形もなく消えていた。


「え、うそ。治ってる」

「ヴァンパイアには、舐めると傷が治る治癒力があるんだよ」

「す、すごい!」


吸血鬼に、そんな力があったなんて。


「ありがとう」

「ううん。亜実ちゃんは傷が治って、俺は血を摂取できて。一石二鳥だね。それじゃあ亜実ちゃん、プリントの続きしよっか」


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