好きになってよ、俺のこと。
「キャー! 神山くーん!」
ひときわ大きくなる歓声。
私が思わず見惚れていると、ゴール後に息を整えていた都輝くんがこっちを見た。
わわ、目が合っちゃった。
慌てて都輝くんから目を逸らす私。
「神山くん、お疲れ様」
「都輝くん、かっこよかったよーっ」
都輝くんは声をかけてきた女の子たちを見ることなく、真っ直ぐ私のほうへ駆けてくる。
「亜実ちゃん! もしかして、俺のこと見ててくれたの?」
ニコニコと話す都輝くんの後ろから、彼に素通りされた女の子たちが私をじっと見ている。
う、視線が痛い。
でも、女の子たちには悪いけど。
都輝くんが、真っ先に私のところへ駆けてきてくれたのは純粋に嬉しいって思ってしまう。
「ねぇ、なんであの子が……?」
「中城さん、大して可愛くもないのに。都輝くんに気に入られてるなんておかしいよね」
都輝くんファンの女の子たちの、ひそひそ話が聞こえてくる。
「ねぇ、中城さんってもしかして……」