好きになってよ、俺のこと。
「何? 亜実。神山くんのことが気になる?」
「えっ。いや、ううん」
私は慌てて、廊下の都輝くんから顔をそらす。
都輝くんのことが気にならないと言えば、嘘になる。
日に日に顔色が悪くなっていく彼を見ていて、ちゃんとご飯は食べているのかな? とか。
色々と考えてしまう。
「そういえば亜実、最近神山くんと喋ってないよね? 何かあった?」
「なっ、何もないよ」
「そう? それならいいんだけどさ。この1週間、亜実もなんか元気ない気がするから」
「そ、そうかな? 私は変わらず元気だよ」
茉世ちゃんに、精一杯の笑顔を見せる私。
そういえば……。
『俺はこの先、専属契約は亜実ちゃんとしか結ぶ気はないし。亜実ちゃんの血しか飲まないって決めたから』
都輝くんが少し前に私に言っていたことを、ふと思い出した。
もしかして都輝くん、この間私に言ったことを守ってて血を飲んでいないとか?
けど、まさか……ね。
そんなこと、あるわけない。