好きになってよ、俺のこと。
東くんと学校を出てしばらく歩いていると、アクセサリーショップや雑貨屋さんが並ぶ通りに出る。通りは、制服姿の学生も多い。
「あ、中城さん。そこのクレープ屋さんに寄ってもいい?」
「…………」
「中城さん?」
「あっ、ごめん。東くん、なに?」
やばい。ボーッとしちゃってた。今は東くんと一緒なんだから、ちゃんとしなくちゃ。
「あそこのクレープ屋さんに寄ってもいい?」
「もちろん!」
東くんは「ここ、気になってたんだよね」と言いながら、最近新しくオープンしたというクレープ屋さんに入る。
東くんって、甘いものが好きなのかな?
「お待たせ」
赤と水色を基調としたポップな外観のお店の前で私がスマホを見ながら待っていると、しばらくして東くんがクレープを両手に持って出てきた。
「はい。中城さんはクレープ、どっちが良い?」
東くんは、チョコバナナクレープとイチゴのクレープを私に差し出す。
「あの、東くんこれは……?」
「中城さんの分のクレープ。どっちか好きなほうを選んで?」
私は、スクールバッグの中から財布を取り出す。
「ああ、いいよ。お金はいらないから。僕が中城さんと食べたくて、勝手に買っただけだし。ていうか中城さん、今更だけど甘いもの大丈夫だった?」
「うん、大好き。えっと、それじゃあイチゴのほうをもらおうかな」
「どうぞ」
東くんからクレープを受け取るとき、私の指が東くんの手に当たってドキッとした。