好きになってよ、俺のこと。
私は東くんの後ろをついて歩き、通りを抜けて人気のない路地裏へとやってきた。
そこは薄暗く、先ほどまで自分がいた街中とは打って変わってシンと静まり返っている。
「あっあの、東くん。ここって……」
こんな薄暗いところに、お店なんてあるの?
「ほんとに素直で良い子だよね、中城さんって」
……え?
何だか、嫌な予感がする。
そう思ったが、時すでに遅し。
私は東くんに、路地裏の壁際へと追いやられていた。
ドン、と壁に手をついた東くんに囲われる。
ひいっ。壁ドンなんて初めてされたけど、ときめくどころかむしろ怖い。
逃げ場なんてどこにもなく、私はますます身体が固くなってしまう。
東くんはすぐそばから私を見下ろしていて、ゆっくりと顔を近づけてくる。
「やっとふたりきりになれたね、中城さん」
「……え?」
「初めて見たときから思ってたんだけど、中城さんって本当に良い匂いだよね。さっきクレープ食べたところだけど、キミの匂いを嗅いでたらお腹空いてきちゃった」
「あ、東くん……?」
私の目の前でペロリと舌なめずりをする東くんの目は、赤色になっている。
この目の色って、まさか……。