好きになってよ、俺のこと。
都輝くん……。
「人のように生きようと、血を飲まずにいたら。たった数日血を飲まないだけで、貧血になって。日に日に身体が弱っていく。身体全体が、自分は吸血鬼だって言っているようで……ごほごほっ」
「都輝くん、もう何も喋らなくて良いから。早く血を飲んで」
私は制服のボタンを外し、自分の首筋を都輝くんへと近づける。
「このままじゃ都輝くん、死んじゃうでしょ?」
「いや、でも。亜実ちゃんは、血を吸われたくないんじゃ……」
「都輝くんならいいよ。だって私は……都輝くんのことが好きだから。都輝くんに飲んで欲しい」
「亜実、ちゃん……」
私は、都輝くんが好き。
ここに来てようやく気づいた自分の気持ち。
「吸血鬼だろうと人間だろうと、そんなの関係ない。都輝くんは、都輝くんなんだから」
「亜実ちゃん。そういうところほんと、昔と変わらないね」
昔って……。
「え? もしかして私たち、高校生よりも前に会ったことがあるの?」
「うん、会ったことあるよ。でも、昔話の前に……先に亜実ちゃんの血をもらうね」
都輝くんが私の首筋に顔を埋め、尖った牙が突きたてられる。