好きになってよ、俺のこと。
ある日のこと。
この日は天気も良く、朝からみんなで外で遊んでいた。
園庭の遊具だったり、鬼ごっこをして走り回ったりと、各々自由に遊んでいた。
お腹が空いていたけれど、昼食の時間まではもう少しだからと、俺は頑張って我慢していた。
このとき俺は、鬼ごっこをしていて。鬼としてみんなを追いかけまわしていた。
だけど、走っているとどんどん空腹になっていくようで。あと少しの辛抱だと、自分に何度も言い聞かせながら走っていた。
そんなとき、俺の前を走っていた男の子が転んで怪我をしてしまった。
怪我をした男の子の膝からは、血がうっすらと流れている。
それを見た瞬間、俺は今まで感じたことのない強い吸血衝動に駆られた。
“幼稚園という、人がたくさんいる前で吸血してはならない。”
“第一、人の承諾なしに勝手にその人の血を吸ってはいけない。”
父親から毎日あれほど、人と生活する上で注意するべき点を聞かされていたというのに。
そんなことは頭からすっかり抜け落ち、己の空腹を満たしたい一心で、俺はその子の膝に噛みつき吸血してしまった。