好きになってよ、俺のこと。
『きゃああ』
『化け物!』
口からは血が流れ、赤い目と牙のある俺を見て、みんなは化け物呼ばわりした。
幼稚園の先生でさえも、何か恐ろしいものでも見るかのような目で俺のことを見ていた。
その日以来、俺は幼稚園で浮いた存在になってしまった。
毎日のように『化け物』『悪魔』などと呼ばれ、園児からいじめられるようにもなった。
誰も俺の味方なんていなくて。
辛くて辛くて、毎朝幼稚園に行くのが苦痛になっていたとき。
そんな俺を助けてくれたのも……また、亜実ちゃんだった。
『ねぇ。どうしてこんなひどいことをするの!?』
あるとき、園児から石を投げつけられていた俺の前に亜実ちゃんが立つ。
『人間でもそうじゃなくても、都輝くんは都輝くんだよ。今までと同じ友達に変わりはない。それなのに、どうして意地悪するの!?』
俺をかばうように両手を広げ、泣きそうな顔をして俺の前に立つ亜実ちゃん。
自分よりも体格のいい男の子に立ち向かう彼女の背中が、誰よりもかっこよくて。
どんなときも決して差別することのない、誰にでも平等に優しいキミのことを、このとき俺は好きになったんだ。