好きになってよ、俺のこと。
【亜実side】
「そう、だったんだ」
路地裏を抜け、近くの公園まで移動してきた私たち。
そこで都輝くんから幼稚園の頃の話を聞かせてもらった私は、驚きを隠せない。
まさか都輝くんが、10年もずっと私のことを想い続けていてくれたなんて。
それなのに……。
「私の血が目的で近づいただなんて、都輝くんのことを疑ってしまってごめんなさい」
「ううん。ちゃんと分かってもらえて良かったよ」
都輝くんがニッコリと微笑んでくれる。
「それに何より亜実ちゃんに、俺のことを好きになってもらえたしね」
「……っ」
『だって私は……都輝くんのことが好きだから』
先ほど自分の言ったことを思い出し、私は赤面する。
「き、聞いてたの? 都輝くんあのとき、貧血で意識が朦朧としていたはずなのに」
「そんな大事なこと、俺が聞き逃すわけないでしょ? それで亜実ちゃん、俺のことどう思ってるの?」
「さ、さっき聞いたのなら、もう良いでしょう?」
「いやぁ、もう一度ちゃんと聞きたいなぁと思って」