好きになってよ、俺のこと。
都輝くんが、私の口元に耳を近づけてくる。
「ちなみに俺はね、大好き。世界中の誰よりも、亜実ちゃんのことが好きだよ」
「私、も」
「え?」
私は他の誰にも聞かせたくなくて、内緒話するみたいに口元に手を当て、都輝くんの耳のそばで話す。
「私もね、都輝くんのことが大好きだよ。
世界で一番、都輝くんが好き」
「亜実ちゃん」
想いを伝えると、どちらともなく抱きしめ合う。都輝くん、温かいな。
───人間とか、吸血鬼とかじゃなくて。
私はきっと、都輝くんだから好きになったんだなって思う。
「ねぇ、亜実ちゃん。今度こそ俺と、契約してくれる? 俺の、姫になってよ」
「はい、喜んで」
都輝くんが、私に指輪を嵌めてくれる。
燃えるような夕焼け空の下。
私は都輝くんと、恋人になって初めてのキスをする。
私の右手の薬指には、彼の姫であるという証のシルバーリングがキラキラと輝いていた。
【END】