好きになってよ、俺のこと。
昼休み。
中庭の日当たりの良いベンチに座り、私はひとりお弁当を食べている。
専属契約を結んだ男女は、授業以外の時間はカップルのように仲良く一緒に過ごすのが基本らしい。
だから、茉世ちゃんとは別行動。
でも。まさか、茉世ちゃんがヴァンパイアだったなんて。
私は、抜けるような青空を見上げる。
てっきり茉世ちゃんも、私と同じ人間だとばかり思っていたから。
驚きというか、ショックというか。
なんとも複雑な気持ち。
でも、人間だろうが吸血鬼だろうが、茉世ちゃんは茉世ちゃんなんだから。
友達であることには変わらない。
むしろ、今まで本やテレビの中でしか見たことのなかった吸血鬼とこうして友達になれてラッキーだよね。
「よし。食べよう」
私は、ずっと止まったままだった箸を動かす。
タコさんウインナーを味わっていると。
「あっ! こんなところにいた」
声がしたほうに目をやると、昨日保健室で会った吸血鬼の男の子がいた。