好きになってよ、俺のこと。


専属契約……。


綺麗な長い指が伸びてきて、私の首筋に触れる。


「俺は、亜実ちゃんに俺の姫になって欲しい」


先ほどとは打って変わった彼の真剣な瞳に、視線がそらせなくなってしまう。


「でも……どうして私なんですか?」

「どうしてってそんなの、亜実ちゃんを好きだからに決まってるじゃない。どうせ契約するなら、やっぱり好きな子としたいし」


好きな子、か。


「だったら……私もあなたと同じです」

「え?」


私は彼を真っ直ぐ見据える。


「私もどうせなら、自分の好きな人と契約を交わしたい。だから、あなたとはできません。だって私、あなたのこと好きじゃないので。ていうか、そもそもあなたのことは名前すら知らないから」

「ぷっ。ははは」


私が言い切ると、何がおかしいのか彼は肩を震わせて笑い出す。


「キミ、言ってくれるねぇ。そんなにハッキリと振られたら、逆に気持ちいいわ。うん、分かったよ」


え、分かってくれた?!


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