ワインとチーズとバレエと教授【番外編】
2022年5月2日
「失礼致します」
その声がした瞬間、
誠一郎は、診察室の空気が
一瞬で変わったのを感じた。
誠一郎は、
その声の方へ顔を向けた。
そこには、黒髪ロングの
美しい女性が立っていた。
サラサラした黒髪は
背中まである。
長い黒髪を
ハーフアップにして、
頭部のやや下で
白いリボンで留めていた。
肌は日本人の平均より
かなり白く、
目はどんぐりのように
大きな二重で、黒目も
子供のように大きかった。
顔は、まだ
幼さと、あどけなさが残る。
その女性が姿勢良く立っていた。
まるで日本人形ー
それか、どこかのご令嬢ー
津川理緒だったー
誠一郎は、
津川理緒との出会いが
自分の人生の歯車を
きしませていく予感を
そのとき、確かに感じたー
【誠一郎】エピソード完