ワインとチーズとバレエと教授【番外編】
その翌日ー
「…はい」
と亮二の目の前に
誠一郎が5枚の紙を渡してきた。
亮二は
「…え?」
と、驚きながら
その用紙を受け取った。
「3回分の講義だよ
コピーしてきた」
「2回分は分かるけど
3回目はオレたち、
出れなかったじゃないか…」
と、亮二が言うと
「この前の講義で
父親が何を話すかなんて
だいたい見当がつくよ
まとめておいた
これ 3回分の講義のコピー 」
「…ありがとう」
亮二はそれを受け取った
「50円」
誠一郎は手を出した。
コピー代の請求だ
まあこれは仕方ない。
亮二は50円を出した。
50円を受け取ると
誠一郎はスタスタと
廊下を歩いて行った。
冷たいのか
優しいのか
よくわからない誠一郎だったが
亮二には、そんな
誠一郎の不器用な優しさを
暖かく感じた。