ワインとチーズとバレエと教授【番外編】
「理緒さんは、
フィギュアスケートも
バイオリンも勉強も
頑張っておられます!
お母さんがそのような態度では
理緒さんが、あまりにも不憫です!
これまで理緒さんは
懸命に努力してきました!」
そう聞くと真理子の怒りは
さらにヒートアップし
「何がバイオリンよ!
何がフィギュアスケートよ!
何が進学コースよ!
何が大学ですか!?
親の許可も取らず勝手に…!」
この騒ぎを聞きつけ
副校長が飛んできた。
「一体、何の騒ぎですか!」
副校長は、朝倉先生と真理子の
仲裁に入った。
真理子は朝倉に言ったことと
同じことを副校長に述べると
副校長も唖然とした。
「いや、お母さん、あの、
うちは進学を目指す高校であり
さらに理緒さんは、成績も優秀で
生徒会もやっておられます
フィギュアスケートは
大変残念でしたが
川村先生のご紹介で、 今は
当校OG の夫である
桜田先生が理緒さんの
バイオリン指導に
当たっていると聞いております
その功績も認められ
大学も合格しました
これは理緒さんの実力であって…」
「だから、うちの娘に
大学は必要ないって
言ってるでしょ!?」
「では、奨学金などは
お考えになったら…」
「だから奨学金は
保証人が必要でしょう?
私が連帯保証人になれって言うの?
それとも、アンタたちが
なってくれるの?」
それを聞いた副校長はとうとう
頭に来てバンとテーブルを叩いた。
「それが親の態度か!?」
「ええ、そうよ!
それが教師の態度!?」
「えぇ、えぇ、そうですよ!」
それを見かねた担任の朝倉が
副校長を止めたが
副教頭は真理子の態度に
怒り心頭だ。
「理緒が勝手に大学に行くのは
構いませんが、私は奨学金の
保証人にもなりませんし
勝手に働いて行けばいいことだわ!」
担任教師の朝倉は
「お母さん、理緒さんは
とても頑張っておられました
せめて卒業式だけでも…」
と伝えると
「卒業式?ばかばかしい
そんなセレモニーに参加して
何が楽しいっていうの?
ちなみにウチは
卒業アルバムは
必要ないので買いませんから!」
と捨て台詞を吐いて
真理子は職員室を後にした。
副教頭も朝倉も唖然とした。
そして、理緒を案じてならなかった。