ワインとチーズとバレエと教授【番外編】
理緒は、一瞬で立てた
計画が、狂いがないか
頭の中で確認すると
それを静かに、そして
着実に実行しようとしていた。
理緒はホテルから1番近い
産婦人科に行った。
理緒の問診を取りに来た
看護師
「今日は、どうされましたか?」
と笑顔で理緒に質問したが
理緒の鼻血と切れた唇を見て
何があったか、想像がついた。
さっきまで微笑んでいた
看護師の顔が、同情的に
変わったのを見逃さず
理緒は
「…レイプされました…」
と一言つぶやいた。
問診を聞き取りに来た
看護師は、
「ちょっと待っててね」
と、言うと外来診察室に行った。
きっと、医師と相談して
いるのだろう。
看護師はすぐ理緒を
別室へ案内した。
「ちょっとここで
待っててくださいね 」
と看護師は退室した。
その後、10分と経たず
理緒がすぐ診察室に呼ばれ。
医師は、同情的に理緒を見つめた。
「事情はお察し致しました…
内診台に上がれますか…?」
「…はい」
理緒は医師によって
内申された。
さらに、首には絞められた
痕が残り、鼻血が出て
唇が切れているのも
医師がかるく処置した。
医師は無言だったが
目は、とても
悲しそうだった。
そして、一呼吸置いて
「えっと…明らかに
膣の中は暴行の跡がありました
相手はどなたか分かりますか?」
「… はい」
「相手の名前を聞いていいですか?」
「 沢村賢治医師です」
担当医は驚いた。
「相手は医者ですか?」
「はい、沢村外科病院の院長です」
医者は、呆気にとられた。
もしかしたら、知り合いかもじれない。
「警察に通報しますか?
私は医者として、それを
勧めますが、どうでしょう…?」
と医師は理緒の顔色を伺った。
「はい、お願いします」
理緒の頭に描いた手順通り
事は運んだ。