転生したらエルフの幼女でした。前世と同じように過ごしているだけなのに頑張り過ぎだと言われ、神童と呼ばれています。人間の国で王子の家庭教師をやらされる事になったけど、お菓子が美味しいので頑張ります。
挿話2 自画自賛な新米メイドのミリア
朝の従業員ミーティングで、メイド長さんから今日の仕事の担当が割り振られていく中で、
「みなさん。昨日のミーティングでも共有しましたが、本日からエルフのお嬢様が王太子様の魔法の家庭教師をされるということで、毎日来られますので、それぞれ対応願います」
特別対応として、昨日のエルフさんの話が出てきた。
これから毎日来るらしいけど、毎回応接室をセットするのは大変だから、エルフさん用の部屋を用意した方が良いんじゃないかな?
部屋なんていっぱい余っているし。
リディアさんかメイド長あたりが、王太子様に進言してくれないかなー?
絶対にそっちの方が、私たちメイドのお仕事が減るしさ。
「尚、王太子様から事前に聞いている話ですと、屋外訓練場で魔法の実践訓練をする予定だそうです。お二人に着替えの準備と、汚れたり汗をかかれたりするかもしれませんので、入浴の準備もお願いします」
入浴の準備……入浴っ!?
「はいっ! メイド長さん! エルフのお嬢様の入浴と、その後の着替えについては私が担当したいです!」
「ミリアさん……相手は人間の御令嬢ではなく、エルフの御令嬢ですが大丈夫ですか?」
「お任せくださいっ!」
「わかりました。では入浴についてはミリアさんを主担当とし、念のため二名ほどサポートに付いてください」
やったー!
昨日見ていて思ったんだけど、あのエルフさんは絶対に化けると思うんだよねー。
ダイヤの原石っていうのかな?
いや、昨日の学校の制服姿でも可愛らしいんだけど、可愛いが出過ぎちゃっているんだよね。
ミーティングが終わると、いつも通りの仕事に取り掛かり……午後になると、
「お帰りなさいませ」
王太子様がエルフさんを連れてきた。
事前の打ち合わせ通り、まずはリディアさんがエルフさんを訓練着へ着替えるために案内する。
私はよくわからないんだけど、リディアさん曰く、エルフは自然の力を使って魔法を行使するので、少しでも身体を自然に触れさせる……つまり露出を多くする必要があるらしい。
でも魔法の訓練で汚れたり、破れたりする可能性があるので、使い捨ててもよい半袖半ズボンをチョイスしたそうだ。
ただ……嫌がらせかな? ってくらいに、服に華が無さ過ぎるんですけど。
真っ白なシャツはともかくとして、その紺色の半ズボンは何? それならスカートの方が良くない?
仮にも王太子様のご学友だよ? 更に、昨日の話からすると王妃様になる可能性すらあるのに。
入浴後だけでなく、訓練前についても私が担当を申し出ればよかったと、少し後悔しつつも、訓練場の脇で訓練が終わるのを待つ。
「アクア・ブリット」
王太子様がエルフさんに向かって水魔法を放つ。
エルフさんに怪我を負わせる訳にもいかないから、このチョイスなのだろう。
リディアさんによると、王太子様は火魔法と風魔法が得意らしいし。
魔法のことも詳しくないけど、地面から土が盛り上がったり、突然落とし穴が生まれたり、周辺が泥に変わったり……あぁぁ、服が……洗濯が大変っ!
「やったわねー。えーいっ!」
「待って、待って」
いやでも、王太子様もエルフさんも凄く楽しそう。
服は洗えばよいわけだし、夕方以降は公務漬けで忙しくなる王太子様が笑顔でストレス発散? 出来ているのであれば、安いものか。
私はそう思っていたんだけど、隣で見ていたリディアさんはちょっと違うみたい。
「……悔しい……」
よく聞こえなかったけど、リディアさんが何かを呟いたかと思うと、泥まみれになっている二人のところへ向かって行った。
「坊ちゃんもソフィアお嬢様も、泥遊びは六歳くらいで卒業するものかと」
「あっはっは。確かに」
「うぐっ……すみません」
泥遊び……というか、魔法の訓練が終わり、エルフさんがシャワーみたいに水を出して泥を洗い流すけど、あれだけ汚れたら、シャワーだけでは落ちないよね。
という訳で、ここからは私が担当!
エルフさんをお風呂へ連れて行き、身体の隅々まで綺麗に洗う。
……ふゎー! 改めて思うけど、髪の毛がサラサラで頭も顔も小っちゃくて……これは、この後が楽しみ過ぎるっ!
風魔法を使える子がサポートに入ってくれていたので、髪の毛をしっかり乾かしてもらい、ササッと編みこんでいく。
ドレスは既に選んであるのでサポートの子に任せ、私はメイクを……うん。素材が良いのでナチュラルメイクにしたけど、
「はわゎゎゎ……やっぱり! 思っていた通り可愛いですぅぅぅっ!」
私……メチャクチャよい仕事したっ!
このエルフさんの姿を絵画にして残しておきたいくらい!
画家……今から肖像画家を呼べませんかっ!?
他のメイドさんからも、綺麗だと言ってもらえて、まるで自分のことのように嬉しい。
だけど、
「くっ。坊ちゃん……」
何故かリディアさんが悔しがっている?
んん? ……まさか、弟みたいに面倒をみてきた王太子様が、エルフさんに取られてしまうのが悔しいとか?
いやいや、流石にリディアさんも身分違いだとわかっているはず。
私たちはただのメイド。王太子様は次期国王で、エルフのお嬢様はエルフという種族を束ねる長老のお孫さん。
私たちが王妃に選ばれる可能性なんて、万どころか億に一つも無いよ?
そんなリディアさんを尻目に、王太子様が隣に座られていっぱいいっぱいになっているエルフさんを微笑ましく眺める。
これは……入浴後のセットはやりがいがあるわね!
「みなさん。昨日のミーティングでも共有しましたが、本日からエルフのお嬢様が王太子様の魔法の家庭教師をされるということで、毎日来られますので、それぞれ対応願います」
特別対応として、昨日のエルフさんの話が出てきた。
これから毎日来るらしいけど、毎回応接室をセットするのは大変だから、エルフさん用の部屋を用意した方が良いんじゃないかな?
部屋なんていっぱい余っているし。
リディアさんかメイド長あたりが、王太子様に進言してくれないかなー?
絶対にそっちの方が、私たちメイドのお仕事が減るしさ。
「尚、王太子様から事前に聞いている話ですと、屋外訓練場で魔法の実践訓練をする予定だそうです。お二人に着替えの準備と、汚れたり汗をかかれたりするかもしれませんので、入浴の準備もお願いします」
入浴の準備……入浴っ!?
「はいっ! メイド長さん! エルフのお嬢様の入浴と、その後の着替えについては私が担当したいです!」
「ミリアさん……相手は人間の御令嬢ではなく、エルフの御令嬢ですが大丈夫ですか?」
「お任せくださいっ!」
「わかりました。では入浴についてはミリアさんを主担当とし、念のため二名ほどサポートに付いてください」
やったー!
昨日見ていて思ったんだけど、あのエルフさんは絶対に化けると思うんだよねー。
ダイヤの原石っていうのかな?
いや、昨日の学校の制服姿でも可愛らしいんだけど、可愛いが出過ぎちゃっているんだよね。
ミーティングが終わると、いつも通りの仕事に取り掛かり……午後になると、
「お帰りなさいませ」
王太子様がエルフさんを連れてきた。
事前の打ち合わせ通り、まずはリディアさんがエルフさんを訓練着へ着替えるために案内する。
私はよくわからないんだけど、リディアさん曰く、エルフは自然の力を使って魔法を行使するので、少しでも身体を自然に触れさせる……つまり露出を多くする必要があるらしい。
でも魔法の訓練で汚れたり、破れたりする可能性があるので、使い捨ててもよい半袖半ズボンをチョイスしたそうだ。
ただ……嫌がらせかな? ってくらいに、服に華が無さ過ぎるんですけど。
真っ白なシャツはともかくとして、その紺色の半ズボンは何? それならスカートの方が良くない?
仮にも王太子様のご学友だよ? 更に、昨日の話からすると王妃様になる可能性すらあるのに。
入浴後だけでなく、訓練前についても私が担当を申し出ればよかったと、少し後悔しつつも、訓練場の脇で訓練が終わるのを待つ。
「アクア・ブリット」
王太子様がエルフさんに向かって水魔法を放つ。
エルフさんに怪我を負わせる訳にもいかないから、このチョイスなのだろう。
リディアさんによると、王太子様は火魔法と風魔法が得意らしいし。
魔法のことも詳しくないけど、地面から土が盛り上がったり、突然落とし穴が生まれたり、周辺が泥に変わったり……あぁぁ、服が……洗濯が大変っ!
「やったわねー。えーいっ!」
「待って、待って」
いやでも、王太子様もエルフさんも凄く楽しそう。
服は洗えばよいわけだし、夕方以降は公務漬けで忙しくなる王太子様が笑顔でストレス発散? 出来ているのであれば、安いものか。
私はそう思っていたんだけど、隣で見ていたリディアさんはちょっと違うみたい。
「……悔しい……」
よく聞こえなかったけど、リディアさんが何かを呟いたかと思うと、泥まみれになっている二人のところへ向かって行った。
「坊ちゃんもソフィアお嬢様も、泥遊びは六歳くらいで卒業するものかと」
「あっはっは。確かに」
「うぐっ……すみません」
泥遊び……というか、魔法の訓練が終わり、エルフさんがシャワーみたいに水を出して泥を洗い流すけど、あれだけ汚れたら、シャワーだけでは落ちないよね。
という訳で、ここからは私が担当!
エルフさんをお風呂へ連れて行き、身体の隅々まで綺麗に洗う。
……ふゎー! 改めて思うけど、髪の毛がサラサラで頭も顔も小っちゃくて……これは、この後が楽しみ過ぎるっ!
風魔法を使える子がサポートに入ってくれていたので、髪の毛をしっかり乾かしてもらい、ササッと編みこんでいく。
ドレスは既に選んであるのでサポートの子に任せ、私はメイクを……うん。素材が良いのでナチュラルメイクにしたけど、
「はわゎゎゎ……やっぱり! 思っていた通り可愛いですぅぅぅっ!」
私……メチャクチャよい仕事したっ!
このエルフさんの姿を絵画にして残しておきたいくらい!
画家……今から肖像画家を呼べませんかっ!?
他のメイドさんからも、綺麗だと言ってもらえて、まるで自分のことのように嬉しい。
だけど、
「くっ。坊ちゃん……」
何故かリディアさんが悔しがっている?
んん? ……まさか、弟みたいに面倒をみてきた王太子様が、エルフさんに取られてしまうのが悔しいとか?
いやいや、流石にリディアさんも身分違いだとわかっているはず。
私たちはただのメイド。王太子様は次期国王で、エルフのお嬢様はエルフという種族を束ねる長老のお孫さん。
私たちが王妃に選ばれる可能性なんて、万どころか億に一つも無いよ?
そんなリディアさんを尻目に、王太子様が隣に座られていっぱいいっぱいになっているエルフさんを微笑ましく眺める。
これは……入浴後のセットはやりがいがあるわね!