転生したらエルフの幼女でした。前世と同じように過ごしているだけなのに頑張り過ぎだと言われ、神童と呼ばれています。人間の国で王子の家庭教師をやらされる事になったけど、お菓子が美味しいので頑張ります。
第37話 真実を知るソフィア
「という訳で、奴はエルフに何も酷い事はしておらん。強いていうなら、花を見た目だけで選んでしまったという事くらいじゃ」
「そう……ですか」
長老の言葉で、エドワードが目を伏せる。
元々、この部屋で昔の国王様が行った酷い事っていうのを調べて、その原因を解消しようとしていたもんね。
だけど、長老の話を聞いて、どうすれば良いか答えが見つからないんだろうな。
「まぁワシも当時、イリーナから聞いた話じゃがな。しかし奴が、イリーナに渡そうとしている花束を先に見せてくれていたら、ジギリスタを省かせたというのに」
「……ん? お爺ちゃん。今、ジギリスタって言った!?」
「うむ。やはりソフィアは聡明じゃな。その年でジギリスタの事を知っておったか。あの花は見た目は美しいものの、かなり強い毒をもっておるのじゃ」
「ま、待って。確かにジギリスタは毒でもあるけど、使い方によっては薬なのよ!? 少なくとも、人間の国では薬草に分類されているわ」
「な、なんと……ううむ。しかし……」
「それに、ジギリスタの花言葉は、熱愛。昔の国王様は花を見た目だけで選んだんじゃない。ちゃんとお母さんの事を考えて、花束を渡していると思うの」
ジギリスタの話については、絶対に間違いない。
先週末に、図書館にある薬草学の本で読んだばかりだもん。
「長老様。僕から一つ提案があります」
「なんじゃ?」
「ソフィアさんには既にお話ししましたが、僕は長老様やソフィアさんのように、エルフと人間が交流出来るようにしたいと考えています」
「ふむ。まぁワシと婆さんは真相を知っておるし、ソフィアは……ちょっとアレじゃから良いとして、他のエルフは難しいぞ?」
あの、長老さん? アレって何?
私の事をどう見ているのっ!? 可愛い孫娘なんですけどっ!
「そこで、今すぐとは言いませんが、ソフィアさんと僕が婚姻関係になれば、エルフの方々も人間を見直してくださるのではないのかと」
「ふむ。少年は奴の孫の孫じゃし、ワシとしては異論がないし、今まで様子見してきた感じからすると、ソフィアも大丈夫であろう。問題はイリーナ……要はソフィアの両親じゃな」
「それは、これから僕の事を知っていただき、今後の言動や政治を見ていただいて、ご両親に認めていただけるように頑張りたいと思います」
いやいやいや、待って! どうしてエドワードと長老さんの二人で、私の結婚の話を進めているのよっ!
もちろんエドワードの事は嫌いじゃないし、別にその……構わないけど、ツッコミどころが多過ぎるのっ!
「二人とも待って! 言いたい事はいっぱいあるんだけど……エドワードの案は、王族とエルフが婚姻って話じゃなかったっけ?」
「ん? だったら良いではないか。さっきも言ったが、この少年は奴の玄孫にあたる。この国の王子じゃぞ?」
「は……? えぇぇっ!? エドワードは貴族だとは思っていたけど……お、王子様なのっ!?」
慌ててエドワードに目を向けると、大きく頷かれる。
「すみません。隠すつもりではなかったのですが、クラスメイトであるソフィアさんに、僕がこの国の王子だという情報は不要かと思いまして」
「はっはっは。まぁ誰しも秘密の一つや二つはあるものじゃ。学校卒業まで、我々からするとあっという間じゃが、この少年がきっとソフィアをその気にさせるじゃろ。いや、既にまんざらでもないかもしんな
うぐ。秘密って言われると、私は転生していて、日本人の大人の記憶がある……っていう、誰よりも大きな秘密を隠しているのよね。
それに比べると、エドワードが王子だったって事なんて、本当に些細だわ。
「ソフィアさん。卒業までの三年間。これから仲を深めさせていただければと」
「そ、それは私の方こそ……って、待って! 三年!? 魔法学校って三か月じゃないの!?」
「む? あぁ、すまんすまん。ソフィアにちゃんと説明していなかったな。エルフは寿命が長いじゃろ? エルフの言う一か月は人間の一年なんじゃ」
えぇぇぇっ!? じゃあ、私が十五歳で成人するまで、あと五年しかないのに、三年も……って、あれ? 何だかいろいろおかしくない?
「お爺ちゃん。私って十歳なんだけど、人間の年月で言うと、成人までってあと何年あるの?」
「エルフの一年は人間の約十年じゃ。なので、人間の年月で言うと、まだ四十年以上あるぞ」
あ、そうなんだ。じゃあ、今まで長老やお母さんたちがのんびりしていたのも納得出来る。
成人まであと五年だと思っていたけど、四十年……って、四十年!?
「あの……じゃあ、私が成人する頃にはエドワードがおじいちゃんになってるって事?」
「はっはっは。心配するでない。エルフは未成年でも、両親の承諾があれば結婚可能じゃ。あと、今のソフィアの姿は幼いが、エルフは思春期を迎えると急成長するからのぉ。人間の期間の十年程経てば、立派なレディになるじゃろ」
「では、僕が二十四歳くらいの頃ですね。その時までに、ソフィアさんのご両親に認めていただけるように頑張ります」
えっ!? ちょっと、エドワード!?
その、もっとお互いの事をよく知らないといけないでしょ?
長老は急成長するって言ったけど、今の私はお子様だし、どんな風に成長するか分からないわよ!?
エドワードの事は嫌いじゃないけど、結婚の話は早過ぎるわよぉぉぉっ!
「そう……ですか」
長老の言葉で、エドワードが目を伏せる。
元々、この部屋で昔の国王様が行った酷い事っていうのを調べて、その原因を解消しようとしていたもんね。
だけど、長老の話を聞いて、どうすれば良いか答えが見つからないんだろうな。
「まぁワシも当時、イリーナから聞いた話じゃがな。しかし奴が、イリーナに渡そうとしている花束を先に見せてくれていたら、ジギリスタを省かせたというのに」
「……ん? お爺ちゃん。今、ジギリスタって言った!?」
「うむ。やはりソフィアは聡明じゃな。その年でジギリスタの事を知っておったか。あの花は見た目は美しいものの、かなり強い毒をもっておるのじゃ」
「ま、待って。確かにジギリスタは毒でもあるけど、使い方によっては薬なのよ!? 少なくとも、人間の国では薬草に分類されているわ」
「な、なんと……ううむ。しかし……」
「それに、ジギリスタの花言葉は、熱愛。昔の国王様は花を見た目だけで選んだんじゃない。ちゃんとお母さんの事を考えて、花束を渡していると思うの」
ジギリスタの話については、絶対に間違いない。
先週末に、図書館にある薬草学の本で読んだばかりだもん。
「長老様。僕から一つ提案があります」
「なんじゃ?」
「ソフィアさんには既にお話ししましたが、僕は長老様やソフィアさんのように、エルフと人間が交流出来るようにしたいと考えています」
「ふむ。まぁワシと婆さんは真相を知っておるし、ソフィアは……ちょっとアレじゃから良いとして、他のエルフは難しいぞ?」
あの、長老さん? アレって何?
私の事をどう見ているのっ!? 可愛い孫娘なんですけどっ!
「そこで、今すぐとは言いませんが、ソフィアさんと僕が婚姻関係になれば、エルフの方々も人間を見直してくださるのではないのかと」
「ふむ。少年は奴の孫の孫じゃし、ワシとしては異論がないし、今まで様子見してきた感じからすると、ソフィアも大丈夫であろう。問題はイリーナ……要はソフィアの両親じゃな」
「それは、これから僕の事を知っていただき、今後の言動や政治を見ていただいて、ご両親に認めていただけるように頑張りたいと思います」
いやいやいや、待って! どうしてエドワードと長老さんの二人で、私の結婚の話を進めているのよっ!
もちろんエドワードの事は嫌いじゃないし、別にその……構わないけど、ツッコミどころが多過ぎるのっ!
「二人とも待って! 言いたい事はいっぱいあるんだけど……エドワードの案は、王族とエルフが婚姻って話じゃなかったっけ?」
「ん? だったら良いではないか。さっきも言ったが、この少年は奴の玄孫にあたる。この国の王子じゃぞ?」
「は……? えぇぇっ!? エドワードは貴族だとは思っていたけど……お、王子様なのっ!?」
慌ててエドワードに目を向けると、大きく頷かれる。
「すみません。隠すつもりではなかったのですが、クラスメイトであるソフィアさんに、僕がこの国の王子だという情報は不要かと思いまして」
「はっはっは。まぁ誰しも秘密の一つや二つはあるものじゃ。学校卒業まで、我々からするとあっという間じゃが、この少年がきっとソフィアをその気にさせるじゃろ。いや、既にまんざらでもないかもしんな
うぐ。秘密って言われると、私は転生していて、日本人の大人の記憶がある……っていう、誰よりも大きな秘密を隠しているのよね。
それに比べると、エドワードが王子だったって事なんて、本当に些細だわ。
「ソフィアさん。卒業までの三年間。これから仲を深めさせていただければと」
「そ、それは私の方こそ……って、待って! 三年!? 魔法学校って三か月じゃないの!?」
「む? あぁ、すまんすまん。ソフィアにちゃんと説明していなかったな。エルフは寿命が長いじゃろ? エルフの言う一か月は人間の一年なんじゃ」
えぇぇぇっ!? じゃあ、私が十五歳で成人するまで、あと五年しかないのに、三年も……って、あれ? 何だかいろいろおかしくない?
「お爺ちゃん。私って十歳なんだけど、人間の年月で言うと、成人までってあと何年あるの?」
「エルフの一年は人間の約十年じゃ。なので、人間の年月で言うと、まだ四十年以上あるぞ」
あ、そうなんだ。じゃあ、今まで長老やお母さんたちがのんびりしていたのも納得出来る。
成人まであと五年だと思っていたけど、四十年……って、四十年!?
「あの……じゃあ、私が成人する頃にはエドワードがおじいちゃんになってるって事?」
「はっはっは。心配するでない。エルフは未成年でも、両親の承諾があれば結婚可能じゃ。あと、今のソフィアの姿は幼いが、エルフは思春期を迎えると急成長するからのぉ。人間の期間の十年程経てば、立派なレディになるじゃろ」
「では、僕が二十四歳くらいの頃ですね。その時までに、ソフィアさんのご両親に認めていただけるように頑張ります」
えっ!? ちょっと、エドワード!?
その、もっとお互いの事をよく知らないといけないでしょ?
長老は急成長するって言ったけど、今の私はお子様だし、どんな風に成長するか分からないわよ!?
エドワードの事は嫌いじゃないけど、結婚の話は早過ぎるわよぉぉぉっ!