妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)

04.異質なもの

 寝室から連れ出されたシルディアは、寝室の隣にリビングルームがある珍しい造りに驚いた。
 冬の寒さを感じさせない室内の左手を見れば、暖炉が目に入った。
 シルディアが寝ていた間もずっと温め続けていたのだろう。暖炉には火が灯っていた。
 暖炉の前には猫足のローテーブルとソファーが置かれており、暖を取れるようになっている。
 ソファーの奥には貴族の食堂でよく見る多人数用のリフェクトリーテーブルではなく、こじんまりとした長方形のテーブルが置かれていた。
 壁側には椅子が二つ仲良く並べられている。
 椅子の置かれた壁側には。隣の部屋へ続くアーチだ。
 シルディアの目が正しければ、アーチの奥にはかまどが備えられている。

(こんなところに厨房……?)

 アーチのすぐ右隣には扉があるが、本来いるはずの者がいない。

(おかしい。護衛は、侍女はどこに……?)

 控えているはずの侍女や護衛すらいないリビングに違和感を覚えながらも、オデルにエスコートされたシルディアは椅子へと腰かけた。
 繊細なレースが端を囲っている真っ白なテーブルクロスが広がるテーブルには、可愛らしい花瓶に一輪の白百合が飾られている。

「いい子で待ってて」
「へ?」

 シルディアの頭を一撫でしたオデルは厨房へと足を向けた。
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