妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)

23.つがい

 縄を解こうとしたオデルの手が止まり、不意打ちのように甘い言葉を垂れ流す。

「本当、可愛いな。ぼくのつがいは」
「……今それ言うの?」
「ずっと閉じ込めてしまえばよかった。失敗したね」

 その言葉にシルディアが顔を上げれば、冷め切った赤い瞳と目が合った。
 ぞわりと背中を寒気が這う。

「オデル……?」
「あぁ、やっぱり君には赤が似合うね」

 首筋に伝う血に唇を寄せたオデルが軽く笑った。
 生暖かなぬるりとした感触がオデルの舌なのか、自身の血なのかシルディアには判断がつかなかった。

(いつもとなんか雰囲気が……?)

 疑問に思いつつもシルディアはオデルを押し返す。

「こんなことしてる場合じゃ……」
「あぁ。君を傷付けた不躾な輩だからね。きっちりお礼はしないと」

 オデルは前へと突き出した手を炎が包んだかと思うと、瞬く間もなく意識のない男へと向けて炎を飛ばした。

「っ!?」

 男が丸焼きにされてしまうとシルディアは体を強張らせる。
 しかし、何故か炎はすんでのところで消滅した。
 シルディアはほっと肩の力を抜く。
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