妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
「長居してしまったわね」
「可愛いシルディアが見れたから俺は満足だけどな」
「息を吐くように甘い言葉を吐くね、あんた。いい加減、砂糖を吐きそうだよ」
「想いを伝えるのは当然のことだろ?」
「まぁそうさね」
「それじゃ、俺達は帰る」
「あぁ。城の奴らに伝えるの、忘れんじゃないよ」
「もちろんだ」

 入店した時のようにオデルが扉を開けばカラカラと呼び鈴が鳴った。
 店から出る寸前、シルディアは振り返る。

「あの、ありがとうございました! 髪留め大切に使います」

 閉じられた扉に背中を預けたアリスは一瞬目を見開いたが、すぐに口角を吊り上げた。

「ただの客としてなら歓迎してやるよ。またおいで」
「! はい」

 シルディアはアリスの意外な言葉に目を輝かせ、表情を崩した。
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