妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
ガルズアース皇国の皇族は皆、竜族だ。
彼らは【つがい】という独自の感性を持ち、生涯にただ一人愛する者をそう呼ぶ、少し変わった一族だ。
つがいは同じ竜族から選ばれることもあれば、他国の尊い身分の人間や平民の人間であったり、はたまた亜人であったりと様々だ。
そして、つがいではない者に対する好感度はマイナスへ振り切っているのが一般的だと書物に記されている。
つがいではないシルディアも皇国へ来てからというもの命の危機に値するようなことばかりされているのだから、その書物は正確なのだろう。
(つがいでない者との結婚は認められないという、特殊な制度があるから、きっとわたしとは結婚できない)
皇族であるオデルは、自身のつがいを見つけ娶らなければならない。
そのため、シルディアとは婚姻結べない。
(きっとフロージェがつがいだったのね。わたしでは代わりに成りえない。でも、気になるのは……私に向けられる感情)
オデルから向けられる視線には憎悪や嫌忌の感情は見られない。むしろ赤色の瞳の奥に燻ぶるのは――
(愛情。いえ、もっと狂気に満ちた重い愛情だわ。狂愛とでもいえばいいかしら?)
じっと見つめ過ぎたのか、視線に気が付いたオデルが恋する乙女のように顔をほころばせる。
絶世の美女顔負けの美を見せつけられてしまえば、オデルがシルディアを心から愛していると疑いようもない。
だが裏を返せば、疑われないようにしなければならない理由があるということだ。
(かといって、皇王がこれほどの愛情を向ける理由が見当たらないことね。本来、つがいでないわたしに愛情を向ける必要はない。偽装をしなければならないような理由があるはず……)
「どうした? そんなに見つめられると照れてしまう」
「冗談でしょ。ずっと顔色一つ変わらないじゃない」
「皇族に生まれた者として、顔色ぐらいコントロールできるさ」
「行き過ぎだわ。それで、オデル。あなたは皇王よね?」
「そうだな」
「公務はどうしたの?」
「俺が一日抜けたぐらいで回らなくなるような執務はしていないさ」
言い切ったオデルに、シルディアは思わず眉を吊り上げた。
彼らは【つがい】という独自の感性を持ち、生涯にただ一人愛する者をそう呼ぶ、少し変わった一族だ。
つがいは同じ竜族から選ばれることもあれば、他国の尊い身分の人間や平民の人間であったり、はたまた亜人であったりと様々だ。
そして、つがいではない者に対する好感度はマイナスへ振り切っているのが一般的だと書物に記されている。
つがいではないシルディアも皇国へ来てからというもの命の危機に値するようなことばかりされているのだから、その書物は正確なのだろう。
(つがいでない者との結婚は認められないという、特殊な制度があるから、きっとわたしとは結婚できない)
皇族であるオデルは、自身のつがいを見つけ娶らなければならない。
そのため、シルディアとは婚姻結べない。
(きっとフロージェがつがいだったのね。わたしでは代わりに成りえない。でも、気になるのは……私に向けられる感情)
オデルから向けられる視線には憎悪や嫌忌の感情は見られない。むしろ赤色の瞳の奥に燻ぶるのは――
(愛情。いえ、もっと狂気に満ちた重い愛情だわ。狂愛とでもいえばいいかしら?)
じっと見つめ過ぎたのか、視線に気が付いたオデルが恋する乙女のように顔をほころばせる。
絶世の美女顔負けの美を見せつけられてしまえば、オデルがシルディアを心から愛していると疑いようもない。
だが裏を返せば、疑われないようにしなければならない理由があるということだ。
(かといって、皇王がこれほどの愛情を向ける理由が見当たらないことね。本来、つがいでないわたしに愛情を向ける必要はない。偽装をしなければならないような理由があるはず……)
「どうした? そんなに見つめられると照れてしまう」
「冗談でしょ。ずっと顔色一つ変わらないじゃない」
「皇族に生まれた者として、顔色ぐらいコントロールできるさ」
「行き過ぎだわ。それで、オデル。あなたは皇王よね?」
「そうだな」
「公務はどうしたの?」
「俺が一日抜けたぐらいで回らなくなるような執務はしていないさ」
言い切ったオデルに、シルディアは思わず眉を吊り上げた。