妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
02.影武者姫と妖精姫
痛いぐらいに後ろから抱きしめられたシルディアは、背中に伝う冷や汗を抑えられずにいた。
なぜなら――
「君の名前を教えてほしい」
「ですから、わたくしはフロージェだと申しております」
「噓つき。君はフロージェではないだろう?」
「っ、お戯れを」
シルディアを抱きしめるのは、皇王オデルだ。
妖精姫フロージェの影武者として皇都の城に着いたシルディアは、皇王に挨拶するため謁見の間へ訪れた。
定型的な挨拶を交わし、謁見の間から出る瞬間に後ろから抱きしめられたのだ。
後ろから回されたのは片腕だけだというのに、身動きが取れなくなってしまった。
もう片方の手は、シルディアの命を握っていると言わんばかりに、顎を掴み上を向かせている。
「君の名前は?」
「フロージェですわ」
「ふぅん。あくまでも妖精姫だと呼称するのか」
視界の端でギラギラと輝く赤い瞳に熱が籠った。
その熱に嫌な予感が脳裏を掠めたシルディアが抗議の声を上げる。
「な、なにをっ――」
無防備に晒された首元にオデルが口を寄せ、かぶりついた。
鋭い痛みにシルディアが顔を歪める。
「あぁ、やっぱり、君の白い肌には真っ赤な血がよく似合う」
恍惚な声を聞きながら、シルディアはどうしてこうなったのか現実逃避をするため、意識を手放した。
なぜなら――
「君の名前を教えてほしい」
「ですから、わたくしはフロージェだと申しております」
「噓つき。君はフロージェではないだろう?」
「っ、お戯れを」
シルディアを抱きしめるのは、皇王オデルだ。
妖精姫フロージェの影武者として皇都の城に着いたシルディアは、皇王に挨拶するため謁見の間へ訪れた。
定型的な挨拶を交わし、謁見の間から出る瞬間に後ろから抱きしめられたのだ。
後ろから回されたのは片腕だけだというのに、身動きが取れなくなってしまった。
もう片方の手は、シルディアの命を握っていると言わんばかりに、顎を掴み上を向かせている。
「君の名前は?」
「フロージェですわ」
「ふぅん。あくまでも妖精姫だと呼称するのか」
視界の端でギラギラと輝く赤い瞳に熱が籠った。
その熱に嫌な予感が脳裏を掠めたシルディアが抗議の声を上げる。
「な、なにをっ――」
無防備に晒された首元にオデルが口を寄せ、かぶりついた。
鋭い痛みにシルディアが顔を歪める。
「あぁ、やっぱり、君の白い肌には真っ赤な血がよく似合う」
恍惚な声を聞きながら、シルディアはどうしてこうなったのか現実逃避をするため、意識を手放した。