妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)

10.竜の王

「なに、これ……」

 ソファーに座り、歴史書読みふけっていたシルディアが書物から顔を上げた。
 そして急いで読み終わった歴史書を広げる。
 半日かけて目を通した何冊もの書物に共通点を見つけた。

「やっぱり。竜の王として生まれた皇族のほとんどが、二十歳にならずに死んでる……」
「竜の王は、神話の時代から皇族の中に生まれる。竜の王になる者は、身に宿す魔力が膨大なため、魔力の制御ができなければならない。と言われています」

 丁度紅茶を淹れたヴィーニャが戻ってきた。
 彼女の言葉になるほどと頷いた。

「魔力の制御が上手い人だけが生き残れるってこと? 効率悪すぎない?」
「それもそうですね」
「一つ質問なんだけど」
「なんでしょう?」
「魔力が多かったら何が起きるの?」

 シルディアは皇国の人間ではない。
 そのため、皇国では当たり前に知られていることも知らないのだ。

「そうですね……。まず全身を巡る魔力が魔力細胞を破壊します」
「破壊!? 破壊された魔力細胞は治るの?」
「はい。治ります。そのため、治っては破壊されるという地獄のような痛みが体中を襲いますね」
(地獄のような痛み……?)

 覚えのある症状にヴィーニャへ続きを促した。
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