妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
「シルディア」
彼は満開の花が咲いたような笑顔をシルディアへと向ける。
それを横目に見たシルディアはため息まじりに彼の名前を呟いた。
「……オデル」
「おまたせ」
「公務は終わったの?」
「休憩だ」
「そう」
素っ気なく答えれば、オデルは困ったように笑った。
不便を強いているのを理解しているのだろう。
だからといって彼が譲歩することはなかった。
「結構暖かくなってきたけど、まだ少し冷えるね」
窓を開けていることには触れず話題を振ってくる。
シルディアはオデルに返事をせず窓の外に視線を向けた。
困った顔のままへらりと笑った彼は、一目散にシルディアへ近づかずソファーへと足を向けた。
シルディアが薄着なことに気が付いたのだろう。
ソファーに用意されていた少し厚めのストール手に取ったオデルは、シルディアへと近づいていく。
肩にストールをそっとかけられたかと思うと、冷たくなった体を温めるように後ろから抱きしめられた。
「ねぇ」
「ん? どうしたの?」
「読書ができないと、一日が長く感じてしんどいの」
「うーん。シルディアの願いはなんでも叶えてあげたいんだけど、書庫に行ったらまた竜の王について調べちゃうでしょ?」
「知ってほしくないならそう言ってくれれば調べないわよ」
「シルディアは好奇心旺盛だからなぁ」
「はぁ。つまり、信用してないのね。わたしのこと」
「そんなことないよ」
焦ったように否定するオデルだが、そうとしか取れない言動が原因なのだ。
否定されたところで「はいそうですか」と頷けるはずもない。
オデルの腕から逃れ、シルディアは体の正面を彼へと向けた。
「書庫に行く以外なら叶えてくれるのね?」
「俺に叶えられることなら」
「庭園に行きたい」
「!」
ざわりと全身の毛が逆立つような重い空気がシルディアを包んだ。
彼は満開の花が咲いたような笑顔をシルディアへと向ける。
それを横目に見たシルディアはため息まじりに彼の名前を呟いた。
「……オデル」
「おまたせ」
「公務は終わったの?」
「休憩だ」
「そう」
素っ気なく答えれば、オデルは困ったように笑った。
不便を強いているのを理解しているのだろう。
だからといって彼が譲歩することはなかった。
「結構暖かくなってきたけど、まだ少し冷えるね」
窓を開けていることには触れず話題を振ってくる。
シルディアはオデルに返事をせず窓の外に視線を向けた。
困った顔のままへらりと笑った彼は、一目散にシルディアへ近づかずソファーへと足を向けた。
シルディアが薄着なことに気が付いたのだろう。
ソファーに用意されていた少し厚めのストール手に取ったオデルは、シルディアへと近づいていく。
肩にストールをそっとかけられたかと思うと、冷たくなった体を温めるように後ろから抱きしめられた。
「ねぇ」
「ん? どうしたの?」
「読書ができないと、一日が長く感じてしんどいの」
「うーん。シルディアの願いはなんでも叶えてあげたいんだけど、書庫に行ったらまた竜の王について調べちゃうでしょ?」
「知ってほしくないならそう言ってくれれば調べないわよ」
「シルディアは好奇心旺盛だからなぁ」
「はぁ。つまり、信用してないのね。わたしのこと」
「そんなことないよ」
焦ったように否定するオデルだが、そうとしか取れない言動が原因なのだ。
否定されたところで「はいそうですか」と頷けるはずもない。
オデルの腕から逃れ、シルディアは体の正面を彼へと向けた。
「書庫に行く以外なら叶えてくれるのね?」
「俺に叶えられることなら」
「庭園に行きたい」
「!」
ざわりと全身の毛が逆立つような重い空気がシルディアを包んだ。