妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
切り替わった場面は、フロージェが部屋に来なくなってから数か月後の記憶だ。
必要以上に飾り立てられたシルディアは、フロージェとして夜会に参加するのだと悟った。
いつもと違うのは、入場中に国王から声をかけられたこと。
「先日、フロージェが誘拐にあった」
「!?」
「安心しなさい。フロージェは無事です」
「よかった……」
ほっと息をついたシルディアに国王は冷ややかな声で告げる。
その声色は実の娘に向けるものではない。
「これからの夜会はすべてお前に参加してもらう。いいな」
「……はい。国王陛下」
「ふん。だから厄災など生まれ落ちた時に始末しておけばよかったんだ」
「あなた!? シルディアの前でなんてことを言うんです!!」
「事実、フロージェは命の危険に晒されたではないか!」
「それはシルディアのせいではありません。シルディア。今日の夜会にはガルズアース皇国の皇王陛下と皇太子殿下が参加されているわ。ほら、あちらにいらっしゃるわよ」
優しげな眼差しでシルディアへ語りかけ、逃げ道を作る母は王妃の顔をしていた。
王妃の視線の先に皇王はいなかったが気遣いを無駄にしたくなくて頷いた。
「ご挨拶に行って参ります」
「えぇ。いってらっしゃい」
そっと席を離れ、勉強したガルズアースの皇族の目印である漆黒を探した。
しかし、目立つはずの黒は、会場には一人もいない。
必要以上に飾り立てられたシルディアは、フロージェとして夜会に参加するのだと悟った。
いつもと違うのは、入場中に国王から声をかけられたこと。
「先日、フロージェが誘拐にあった」
「!?」
「安心しなさい。フロージェは無事です」
「よかった……」
ほっと息をついたシルディアに国王は冷ややかな声で告げる。
その声色は実の娘に向けるものではない。
「これからの夜会はすべてお前に参加してもらう。いいな」
「……はい。国王陛下」
「ふん。だから厄災など生まれ落ちた時に始末しておけばよかったんだ」
「あなた!? シルディアの前でなんてことを言うんです!!」
「事実、フロージェは命の危険に晒されたではないか!」
「それはシルディアのせいではありません。シルディア。今日の夜会にはガルズアース皇国の皇王陛下と皇太子殿下が参加されているわ。ほら、あちらにいらっしゃるわよ」
優しげな眼差しでシルディアへ語りかけ、逃げ道を作る母は王妃の顔をしていた。
王妃の視線の先に皇王はいなかったが気遣いを無駄にしたくなくて頷いた。
「ご挨拶に行って参ります」
「えぇ。いってらっしゃい」
そっと席を離れ、勉強したガルズアースの皇族の目印である漆黒を探した。
しかし、目立つはずの黒は、会場には一人もいない。