妹の身代わりで嫁いだ姫は、ヤンデレなはずの皇王にとろ甘に溺愛される(旧 ヤンデレ皇王のつがいはデレ改革をお望みです ~加虐系ヤンデレはデレデレにデレチェンジ~)
どこに行ったのだろうと庭園へ足を向ければ、草垣に隠れるようにしゃがみ込む黒髪を二つ見つけた。
珍しい髪色でそれが今日の貴賓だと確信した。
そっと夜会を抜け出し、声をかける。
「どうかされましたか?」
シルディアの小さな声に大きく揺れる二つの肩。
驚愕に見開かれた真っ赤な二対の瞳に、シルディアは宝石みたいだと場違いなことを考えていた。
「君、僕達が見えるのかい?」
「? 見えなければ声をかけられませんよ?」
「それもそうだね。変なことを聞いた。忘れてほしい」
物腰の柔らかな男性が十歳ぐらいの男の子を庇うように立ち上がり、柔和に微笑む。
きっとこの男性が皇王なのだろう。
そこらにいる貴族とは明らかに雰囲気が違う。
シルディアは膝を折り、最上級の礼を皇王へ捧げる。
「初めまして、皇王陛下。わたしはフロージェ・アルムヘイヤと申します」
「アルムヘイヤの妖精姫ですね。お噂はかねがね」
「皇王陛下の耳に入ったものが良い噂だといいのですが……」
「心配はいらないよ。妖精姫は聡明で、誰に対しても分け隔てなく接しておられるとの噂だからね」
にこにこと笑っているが、シルディアを警戒してるように見える。
シルディアは彼と同じように笑みを浮かべ、肩をすくめた。
「警戒する気持ちはわかります。ですが、わたしは無力で非力な子どもですので……。先に彼を安全な場所に連れて行きませんか?」
「そうだね。どこか絶対に人の目に触れない所はあるかな?」
「……そうですね。こちらへ」
珍しい髪色でそれが今日の貴賓だと確信した。
そっと夜会を抜け出し、声をかける。
「どうかされましたか?」
シルディアの小さな声に大きく揺れる二つの肩。
驚愕に見開かれた真っ赤な二対の瞳に、シルディアは宝石みたいだと場違いなことを考えていた。
「君、僕達が見えるのかい?」
「? 見えなければ声をかけられませんよ?」
「それもそうだね。変なことを聞いた。忘れてほしい」
物腰の柔らかな男性が十歳ぐらいの男の子を庇うように立ち上がり、柔和に微笑む。
きっとこの男性が皇王なのだろう。
そこらにいる貴族とは明らかに雰囲気が違う。
シルディアは膝を折り、最上級の礼を皇王へ捧げる。
「初めまして、皇王陛下。わたしはフロージェ・アルムヘイヤと申します」
「アルムヘイヤの妖精姫ですね。お噂はかねがね」
「皇王陛下の耳に入ったものが良い噂だといいのですが……」
「心配はいらないよ。妖精姫は聡明で、誰に対しても分け隔てなく接しておられるとの噂だからね」
にこにこと笑っているが、シルディアを警戒してるように見える。
シルディアは彼と同じように笑みを浮かべ、肩をすくめた。
「警戒する気持ちはわかります。ですが、わたしは無力で非力な子どもですので……。先に彼を安全な場所に連れて行きませんか?」
「そうだね。どこか絶対に人の目に触れない所はあるかな?」
「……そうですね。こちらへ」