春陽が来る日まで

1. 四月馬鹿

欠伸をしながら自転車を漕ぐ。

やさしくて少し心地いい風が頬を滑る

とてつもなく眠いのとは裏腹に、優しい桃色の花がひらひらと太陽に照らされて揺れる。

「まぶしい」

1人呟きながら、私はもう一度、もう一度と立ち漕ぎで坂道を昇る。

「晴ー!おはよぉー、、、」と少し高くて掠れた声が聞こえる。私は咄嗟に振り向いて、久しぶりに見たその顔に頬が緩む。
「桃!!!!
おはよう!新学期早々お疲れモード?」
私の顔を見て安心した様子の桃は、少し間を置いて私の隣に並ぶと、自転車を漕ぎ出す。
「昨日まで塾の春季講習でさ〜、受験生とはいえ受験勉強なんてはや過ぎない?」

「そんなことないよ、もうしてなきゃおかしいくらいだし」

「晴は相変わらずおべんきょうに関してだけは真面目ちゃんだねえ、おべんきょうだけは」

「何その含みのある言い方〜笑
学校ついたらフェルトペンで眉毛繋いでやる」

「そーいうとこだって笑」
やっぱり桃と話すのはたのしい
他愛のない何気ない会話で目が覚めて、憂鬱なはずの学校生活がまた彩られていく

私は学校が好きだ
大好きな子達が待ってるから。


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