ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「おい、サクラ! 未来の王妃に向かって、無礼なのはどちらだ! 口を慎め!」
「はぁ!? 未来の王妃ぃ!?」
「そうだ。次期国王は俺だ。ということは、アレキセーヌは未来の王妃となる!」

 無駄にキリっとした顔で、エリックは自信満々に言い放った。アレキセーヌはうっとりした顔でエリックを見つめる。しかし、その場にいた召使い一同は呆れた顔をした。

 そもそもサンクトハノーシュ王国の王位を継承するものは、「王族の血統であること」、「心身ともに丈夫であること」、そして「王としての素質があること」の3つが求められる。
 つまり、実力主義なのだ。
 第二王子であるロイより一年早く生まれた第一王子のエリックにアドバンテージがあるかと言えば、決してそうではない。むしろ先ほどの発言でエリックは自らのを愚鈍さを露呈させてしまい、かなり分が悪くなった。居合わせた召使い一同の中で、第一王子の株はダダ下がりである。数日中に宮中では、「エリック王子は愚鈍」との噂が広まることになるだろう。

 これ以上身内の暴走を放っておくわけにはいかないと判断したのか、それまで黙っていたロイも、ため息を交じりに口を挟んだ。
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