ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
ディルの頭の中には完璧にサンクトハノーシュ王国の歴史の年表が入っている。だからこそ、彼は災禍はぴったり百年周期で起こっていると国王に力説した。
しかし、国王はディルの言葉に耳を貸そうともしなかった。ハド共和国の猛攻にすっかり怖気づいてしまっていたためだ。
「結局、国王は聖女召喚を強行し、サンクトハノーシュ王国は予想通り勝利を収めはした。……しかし、命を賭して戦った聖女に対して、この仕打ち。ふざけているのか!」
思いっきり顔をしかめて不機嫌になるディルに、エミは首を傾げて笑ってみせた。
「……そうやって、自分のことみたいに怒ってくれてありがと♡ でも、全然あたしは気にしてないよぉ。第一王子が婚約破棄してくれたから、こうやってハクシャクに会えたんだもん」
「そ、それはそうかもしれないが……」
「みんなが幸せなのが結局一番だって! これで良かったのかなって、あたしは思ってるよ」
エミがはにかむように笑うと、薄いベージュの口紅をひいた唇から少しだけ八重歯がのぞいた。幼く純真な笑みに、ディルの胸の奥がどうしようもなくざわつく。
しかし、国王はディルの言葉に耳を貸そうともしなかった。ハド共和国の猛攻にすっかり怖気づいてしまっていたためだ。
「結局、国王は聖女召喚を強行し、サンクトハノーシュ王国は予想通り勝利を収めはした。……しかし、命を賭して戦った聖女に対して、この仕打ち。ふざけているのか!」
思いっきり顔をしかめて不機嫌になるディルに、エミは首を傾げて笑ってみせた。
「……そうやって、自分のことみたいに怒ってくれてありがと♡ でも、全然あたしは気にしてないよぉ。第一王子が婚約破棄してくれたから、こうやってハクシャクに会えたんだもん」
「そ、それはそうかもしれないが……」
「みんなが幸せなのが結局一番だって! これで良かったのかなって、あたしは思ってるよ」
エミがはにかむように笑うと、薄いベージュの口紅をひいた唇から少しだけ八重歯がのぞいた。幼く純真な笑みに、ディルの胸の奥がどうしようもなくざわつく。