ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 とにもかくにも目的だった旅商人との会合を終え、エミとディルは街の探索をすることにした。エミは久しぶりの外出でいわゆる「テンアゲ」状態であり、ディルも猛スピードで仕事を終わらせてきたため、時間に余裕がある。

 二人はつかの間のゆったりとした時間を楽しんでいた。

 秋の収穫の時期を迎えたガシュバイフェンは、質素ながらも活気に満ちている。人々の表情も明るい。家々の扉には収穫を祝う楚々とした花のリースが飾られていて、街に素朴な愛らしさを添えている。

「あたしこの街めっちゃ好き! すっごい良い感じ♡」
「お前は変わっているな。この街にはまだ余裕がないゆえに、観光名所の類もなければ、花屋や菓子屋、宝飾や服の類を売っている店すらない。しかし、それでも聖女はこの街を気に入ったというのか?」
「うん! だって、みんなイキイキしてるし、幸せそうだし~。そんだけで百点満点サイコーヤッホー大万歳のやりらふぃーだよ」

 エミの答えに、ディルは驚いた顔をする。
< 113 / 392 >

この作品をシェア

pagetop