ギャルは聖女で世界を救う！ ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです！―

　この街はディルが領主になる数年前までずいぶん荒れていた。そもそも、ガシュバイフェンは非常に難しい領土だ。厳しい冬で一年の大半が雪に覆われており、土地は痩せていて小麦すら育たない。
　そんなガシュバイフェンを立て直したのはディルだった。痩せた土地でも育つ植物の種を領民たちに配り、土壌改良も進んで行った。外部からの貧しい領民を受け入れ、一定の期間援助を行い、領民も増やした。
　また外部から優れた技術者を呼び、ライフラインとなる道や下水整備に投資をしたのも功を奏した。
　ディルの努力の甲斐あって、ガシュバイフェンの街はこれまでにないほどの賑わいを見せている。

「……今まで私の婚約者になった女たちは、このガシュバイフェンを何もない場所だと馬鹿にした。しかし、そうか……。お前は、違うところを見てくれるのだな」
「なんでもある首都も楽しいけど、この場所にはこの場所の良いところたくさんあるって～。そりゃあたしだってギャル的には渋谷に憧れるけど、渋谷に住みたいわけじゃないもん。蒲田くらいがちょうどいいっていうか……」
「例えのあたりはよくわからんが、そうやって褒められるのも、悪くはない」