ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「守ってくれなくても大丈夫だよ! ドラゴンってハンパないつよつよヤバキャラなんでしょ? あたしももしかしたら役に立てるかも……」
「……そうだな。お前はあの戦争を止めた聖女だ。役に立つかもしれん。しかし、……お前にはもう休んでいてほしい。お前を、大事に思っているからこそ言っているのだ」
エミを見つめるディルの眼は優しかったが、その瞳の奥には有無を言わせない強い光があった。
「そもそも、100年に一度の災禍はサンクトハノーシュ王国の問題であり、お前たち異世界からきた聖女たちの問題ではない」
「でも……っ!」
「お前だって首都に良い思い出はないだろう。おざなりに扱われ、挙句の果てに婚約破棄までされたんだぞ。第一王子に会う可能性だってある。そんな場所に、わざわざ出向いてやる義理もない」
第一王子は一回ぐらい殴っておくから、とディルは言いかけたが、これは黙っておくことにした。
いつも会話の絶えない二人の間に、珍しい沈黙が流れる。
「……あたし、別に婚約破棄されたことは気にしてないんですけど!」
「お前が気にしていないとしても、私が気にしている」
「……そうだな。お前はあの戦争を止めた聖女だ。役に立つかもしれん。しかし、……お前にはもう休んでいてほしい。お前を、大事に思っているからこそ言っているのだ」
エミを見つめるディルの眼は優しかったが、その瞳の奥には有無を言わせない強い光があった。
「そもそも、100年に一度の災禍はサンクトハノーシュ王国の問題であり、お前たち異世界からきた聖女たちの問題ではない」
「でも……っ!」
「お前だって首都に良い思い出はないだろう。おざなりに扱われ、挙句の果てに婚約破棄までされたんだぞ。第一王子に会う可能性だってある。そんな場所に、わざわざ出向いてやる義理もない」
第一王子は一回ぐらい殴っておくから、とディルは言いかけたが、これは黙っておくことにした。
いつも会話の絶えない二人の間に、珍しい沈黙が流れる。
「……あたし、別に婚約破棄されたことは気にしてないんですけど!」
「お前が気にしていないとしても、私が気にしている」